Research Abstract |
昨年度製作した,振動的圧縮荷重を受けるペーパ摩擦材の真実接触面積と試料厚さの変化を測定するシステムにおいて,画像とその他の測定信号の記録タイミングのずれを加振周波数ごとに補正を行い,さらに振幅・位相を算出する信号処理の条件の見直しなどを行った結果,より再現性の高い測定が可能になった. この実験システムを用いて,ペーパ摩擦材試料に1〜30Hzの正弦波状に変化する圧縮荷重を与えたときの真実接触面積と厚さの変化の応答(振幅比・位相遅れ)を,潤滑油に浸さない場合(乾)と浸した場合(湿)のそれぞれについて測定し,湿の場合の乾の場合に対する相対変化が実験パラメータにどのように影響を受けるかを調べた.接触面が一辺5mmの正方形である試料において接触面内の測定位置をパラメータにした実験では,接触面端部にくらべて接触面中央では,真実接触面積の応答振幅比の相対値は大きく減少し,位相遅れの相対値は減少した.接触面の一辺の長さを3〜7mmと変化させた実験では,接触面が大きくなるにしたがって,接触面中央における真実接触面積の応答振幅比の相対値は減少した. 次に,透過性のない剛平面に挟まれて圧縮振動を受ける平滑な多孔質弾性ブロックの変形-流動解析を行ったところ,接触面中央では液体に流動阻害にともなう圧縮によって大きな圧力が発生し,接触面が大きいほどその傾向が顕著であるという結果が得られた.これは実験結果と符合するものであり,このことにより多孔質弾性体表面の固体接触圧力と液体圧力のバランスによって真実接触挙動が変化するメカニズムを示すことができた.
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