Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究により,得られた主な成果は以下の三項目である. 1.レーザーアブレーション法によるナノ微結晶ダイヤモンドの作製 レーザーアブレーション法により純酸素雰囲気中で,ナノ微結晶ダイヤモンドが成長することを明らかにした.ナノ微結晶ダイヤモンドは従来のCVD法で作製されるマイクロメートル程度のダイヤモンド薄膜よりも,表面平滑性に優れるため,より電子デバイス応用に適した膜を得ることができた.さらに水素を使わない純酸素雰囲気中で成長したため,酸化物やその他の電子デバイスと複合化を行う際に,それらの膜を還元雰囲気中にさらす事がなく,デバイス応用への高い可能性を持つことを示した. 2.アモルファス状炭素膜とペロヴスカイト酸化物の複合化 炭素系材料と,YBa_2Cu_3O_<7-x>(YBCO)超伝導体及びPbZr_<0.52>Ti_<0.48>O_3(PZT)強誘電体との積層構造を作製することに成功した.PZT強誘電体とYBCO薄膜はレーザーアブレーション法で作製し,炭素系材料はレーザアブレーション及びスパッタリング法で作製した.PZT強誘電体においては,分極反転を繰り返すことにより残留分極の減少が起こる疲労特性が存在することが知られている.これは,膜中の酸素が分極反転を繰り返すことにより,抜け出るためと考えられている.この疲労特性について,アモルファス構造を持つ炭素系材料を保護膜としてPZT層に付けた結果,約10の9乗回の分極反転後も残留分極が減少しない素子の作製に成功した.これは,同保護膜を付けない場合,10の7乗回から残留分極の減少が観測されたのと比較すると,二桁ほどの劣化特性改善がみられたことになる.この事は,本研究で作製したsp^3構造を多く含むアモルファス炭素系薄膜が,酸素の透過率を抑え,膜中からの酸素の抜けだしを抑制する効果があったためと考えている.また,本研究で作製した素子では,炭素膜作製前と作製後においてPZT素子の残留分極や抗電界等の強誘電特性は悪化せず,保護膜として極めて有効であることを確かめることができた. 3.CVD法によるシリサイド形成 炭素構造を作製する際に,未処理のSi表面上へは成長が難しいことから,Tiを用いたシリサイド膜形成技術について研究した.これは,将来的にTiを触媒としてナノ炭素構造を成長させることを目標として行った.
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