Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
視知覚充填(以下,filling-in)は,網膜盲点などで発生する錯視現象である.Filling-inの発生により,効率的,機能的な視覚情報の獲得が実現されていると考えられる.Filling-inの発生特性,および発生機構を知ることによって視覚情報獲得機構が理解され,それを画像圧縮,画像符号化,伝送方法などへ応用することが可能になる. Filling-inは,被験者の網膜周辺部に,filling-inさせる対象部分(filling-in対象)を付加した動くテキスチャ画像(以下,動的テキスチャ画像)を呈示した場合にも発生し,それが動的テキスチャの時空間周波数に依存することが,昨年度,研究代表者によって示された.本年度は,filling-inの発生が動的テキスチャの空間的特性と,時間的特性に依存すると考え,filling-in発生プロセスの仮説を提案した. Filling-in発生プロセスの仮説を実証するため,視覚の空間周波数感度特性を計測し,それを用いて,動的テキスチャに対するfilling-in対象の空間的な知覚強度を推定した.また,様々な時空間周波数特性を持つ動的テキスチャ画像に対しfilling-in時間を計測した結果を,filling-in発生プロセスの仮説に適用した.知覚強度が動的テキスチャの動きに伴って減衰し,filling-inに至る過程を推定した.その結果,Filling-in対象の知覚強度は,動的テキスチャが持つ時空間周波数特性に依存して減衰し,時空間周波数感度特性が高い刺激を与えた場合に知覚強度が著しく減衰することが示唆された.このことは,視知覚が強い刺激ほどfilling-inを誘発しやすくなることを意味し,初期視覚の神経細胞が,強い刺激を継続して受けることにより疲労し,filling-inに至るという知見(Ramachandran 1993)の妥当性を示唆したことになる.
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