Research Abstract |
土壌圏・地下水圏は,自然環境における窒素・炭素・酸素などの循環の要になっており,その分解・生成課程において微生物が大きな役割を果たす.また,汚染土壌・地下水の浄化にも,微生物の物質分解機能の利用が図られている.しかしながら,土壌・地下水環境,微生物種,物質は多種多様であり,微生物数やその活性は,土壌構成成分,間隙構造,土壌空気成分,温度,水分量などにより異なる.従って,土壌・地下水中における物質循環の定量的に評価するためには,環境条件と微生物数との関係を把握する必要がある. そこで本研究では,物質分解機能を有する微生物の培養を試み,種々の土壌あるいは環境条件下における微生物の活性と分解機能の関係を,室内実験により調べることを目的とする. 本年度においては,昨年度に引き続き,研究代表者が所属する研究機関建物屋上に設置された緑化土壌および敷地内の植生を有する土壌を対象とし,不飽和土壌の温度および水分量の変化に伴うバイオマス量の変化特性を調べるための予備的な試験として,以下の実験を行った. 1.屋上緑化区域の土壌および植生を有する土壌を採取した後,カラムに詰め,温度および湿度を一定に保った恒温恒湿器内に設置する. 2.一定期間放置後,土壌バイオマスをクロロホルム燻蒸法により測定する. 昨年度の研究成果を鑑みて,本年度は特に培養・測定技術の精度向上に努めたが,環境および土壌条件の違いによる土壌バイオマス量の有意な違いを確認するに至らなかった.
|