Research Abstract |
本研究は,都市形成に必要な資材の定量化を行い,MFA(マテリアルフロー分析)フレームに基づき,日本,ドイツ,イギリス,アメリカ,韓国の5カ国を対象とした国際比較を行うことを目的とし,途上国における今後の発展に伴う物質必要量を推計するための基礎データを提示することができた. 推計を行うにあたって,まず,原料とエネルギー消費量を推計し,主要建設資材のマテリアルフローを定量化した.また,建築資材投入量を時系列で推計し,日本,ドイツの比較を行った.次に,都市構造物の道路と建築物の資材量を調査し,資材原単位用いて都市構造物建設に必要な総物質投入量を推計した.更に,構造物が提供するサービスとの比較を行った.以下に,示された結果をまとめる. (1)5ヶ国における資材の時系列マテリアルフローは,国別,資材別にほぼ一定値を示し,総物質必要量は製造方法,資材混合比に起因することが分かった.また,建築資材総投入量を定量化し,時系列で日独比較を行い,日本,ドイツ比は最大約1.8倍の総資材投入量が必要であると分かった. (2)構造物における一人あたりTMRを推計し,最大:イギリス,最小:日本となった.また日本の海外TMRは,2番目に多いイギリスの約1.8倍になり,資源の国外依存度の高さが目立った. (3)建築物,道路の投入量とストック量をサービスと比較した結果,道路サービスに関しては,先進国は韓国よりストック活用型であることが分かった.また,韓国の今後の発展は,多量の資材投入量を行うと,ストック活用型へ発展することが分かった.建築物に関しては,日本のみの推計であるが,道路資材とサービスの関係を考慮すると,建築データがそろえば他国でも同様の推計を実施することが可能であることを示した.
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