Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
鉄筋コンクリート造建物の最近り設計では,大地震時には大変形に至ることを許容して,軸性能を確保する方法が取られることが多くなっている。建物の設計のためのツールとなる地震応答解析では,大変形まで追跡可能なモデルが必要であるが,現在,鉄筋コンクリート造建物を対象とした地震応答解析に最も良く用いられているTakedaモデルでは,大変形時の耐力劣化と,繰り返しによる耐力低下の影響が考慮されておらず,大変形多数繰り返しの発生する地震応答解析では,解析結果が大幅に危険側になる可能性がある。本研究では,繰り返しによる剛性の低下及び大変形時の耐力劣化を考慮した現実的な復元力特性モデルの開発,及び復元力特性の性能の評価を目的とした。 大変形時の耐力劣化の原因の一つとして,曲げ降伏後のせん断破壊が挙げられる。日本建築学会の靭性保証型耐震設計指針の方法など,いくつかのモデルでは,曲げ降伏後の大変形に伴ってせん断強度が低下すると仮定して,曲げ降伏したRC部材の靭性能を評価する方法を取っているが,降伏後のせん断破壊のメカニズム,特に載荷履歴の影響について調べた研究は少ない。そこで,同一の断面を持つ試験体を複数設計して,様々な方浩で載荷することにより,曲げ降伏後のせん断破壊のメカニズムについて調べ,以下の知見を得た。 ・曲げ降伏後のせん断破壊に対する載荷履歴の影響は極めて大きく,補強筋が降伏するような部材に対しては,載荷履歴の違いによって破壊メカニズムが大きく変化する場合がある。 ・せん断余裕率が大きい部材では,小振幅の繰り返し載荷では耐力の低下は小さいが,ある限界値を越える変形振幅の載荷を受けた時に,急激に耐力が低下する。 ・一方向のみに変形が偏るような載荷を受ける場合,中子筋による靭性の向上が期待できない。 また,せん断余裕度の大きな部材を対象として,地震応答解析に容易に適用できる復元力特性モデルを提案した。繰り返しのルールはTakedaモデルを参考にし,繰り返しによる剛性低下と,大変形時の耐力劣化の効果を考慮した。本モデルのパラメータを適切に決めることにより,既往の実験で得られた荷重-変形関係を良く再現することができる。
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