Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2002: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
送受音関係が成立する音場では線形システムで近似できることが明らかになっている.このような線形システムにおける逆問題,すなわち,観測信号から音源信号を推定する問題では伝達系の推定が必要である.しかし,伝達特性は一般に時変系であるため,適応的な推定を必要とし,逆フィルタ処理による音源波形復元は実用的には難しい.本研究では,残響音場伝達関数の正確な逆フィルタリングを施すことなく,残響波形から音源波形の特徴を回復する可能性を検討した. 残響音は過去に発生された信号が後にその影響を及ぼすことで人に残響感を知覚させる.そこで,申請者は,発生直後への依存度を相互相関関数によって定量的に抽出し,重み付き差分を行うことで残響の影響を軽減することを考えた.相互相関関数を用いることで残響時間情報が不要になり,重み付き差分を行うことで伝達特性の測定及び逆フィルタ処理を必要としない可能性があることを,変調雑音信号で確認した. さらに,日本語・英語の男女各4名の音声を用いた検証実験では,500Hz程度の帯域幅のフィルタ・バンクを構築し,残響回復実験を行った.各帯域の信号包絡線が最大約8dB,平均約5dBの回復効果が確認できた.このように帯域毎の特徴が異なる広域信号でもフィルタバンクにより,狭域化することで,優れた回復効果が確認できた.本手法は計算を並列化出来る可能性があり実時間処理できるため,マイクロホンに小型化して組み込めるなど,応用範囲は非常に広く,実用化できる可能性がある.
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