Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本研究の主たる調査対象グループホームは,研究代表者が設計したもので、3ユニットと2ユニットからなる2個所の痴呆性高齢者グループホームである。どちらのグループホームも,ユニット間の関係を重視し,積極的に敷地内外の外部空間を活用できるように計画・設計した。3ユニットの方は平成12年3月に,2ユニットの方は平成14年3月に完成した。3ユニットの方は,平面的に3軒が隣り合い,冬季積雪期にも安全に行き来できるカバード・ウォークで繋がっている。ここでの行動観察調査等の結果,このカバード・ウォークが(1)ユニット間の近隣関係の形成,(2)周辺地域を含む積極的な屋外利用の推進,(3)入居者のQOLの維持・向上に大きく寄与することが明らかとなった。一方で,このカバード・ウォークの温度環境が基本的に屋外と全く変わらないため,冬季の入居者の利用が難しいことも明らかになった。そこで,後発の2ユニットでは,半屋外空間として2面をガラスで覆われた吹き抜けを用意した。この空間は,2層に重ねたグループホーム・ユニットの各玄関の外に前庭のように設けてあり,床暖房で冬季温度を15℃程度に設定してある。このためカバード・ウォークに比べ,冬季の活用が頻繁に行われていた。 また,このグループホームでは,特に自ユニット内で混乱した入居者が他ユニットにお茶を飲みに行くことで安定することが日常的におきていることが確認された。これは,上記3ユニットのグループホーム同様に,ユニット内でのスモール・デメリットに対して,冬季でも安全な半屋外や隣接ユニットの時的利用(訪問)が,各入居者のQOLを良い状態に維持するのに繋がることを意味する。特に,2ユニットの方は,半屋外空間が冬季の温度環境も十分考慮しているため,近隣への散歩が難しい積雪期でも頻繁に使われている。他ユニットヘの立ち寄りや訪問も数多く観察され,擬似的な地域ケアの提供を確認できた。
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