YAGレーザー基本波アブレーションを用いたPTFE薄膜の創製
Project/Area Number |
13750669
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Material processing/treatments
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坪井 泰之 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00283698)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 光化学 / PLD / 有機超薄膜 / YAGレーザー / アブレーション / ポリテトラフルオロエチレン / 近赤外光 / 絶縁材料 |
Research Abstract |
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、電化保持能力、絶縁性、熱的・化学的安定性といった観点から優れた機能を有し、エレクトロニクス分野で大きく期待される薄膜材料である。しかしながら、ほぼ全ての溶媒に不溶であるために、ウェットプロセスによる薄膜化は極めて困難である。これを解決するために注目されているのが、完全ドライプロセスな薄膜作製手段であるレザーアブレーション(PLD)堆積法である。 従来、PTFEのPLDの研究では、PTFEを直接励起する真空紫外・短紫外レーザーが用いられてきた。しかしながら、これらのレーザー(F_2エキシマレーザーなど)は極めて高価であり、ランニングコストや操作性の観点からも汎用レーザーとは言い難い。さらに、最近の国内外のアプローチとしては(1)自由電子レーザーによる分子振動励起(米国)、や(2)SORを用いた真空紫外光による電子遷移励起、を利用したPLDが挙げられる。いずれも科学的には興味深いものの、極めて大掛かりな光源施設を用いているため、実用段階に近いとは云い難い。 即ち、PLD法によるPTFE薄膜作製を実用段階に飛躍的に近づけるには、安価でしかも操作性の高いレーザーを用いる必要がある。 以上の観点から、本研究ではそのような要求を満たす近赤外レーザーPLDによるPTFE薄膜作製を目的とした。本年度の研究成果は以下に要約でき、上記要請に応えうる結果を得た。 材料加工用レーザーとして、工業的に最も普及しているのはジャイアントパルス型の炭酸ガスレーザーとYAGレーザーである。後者は、基本波(1064nm)発振でマイクロ秒オーダーのパルス幅を有し、かつ紫外高調波が供給できないタイプである。そこで、このようなパルス幅100マイクロ秒のYAGレーザー基本波光を励起光源とし、PTFEの堆積を行なった。PTFEターゲットに極微量(重量比で0.1%以下)のグラファイトを添加した。レーザー光は、このグラファイトにのみ吸収され、アブレーションは純粋に熱的に誘起される。すなわち、マイクロ秒パルスを用いているため多光子吸収によるPTFE自身の分解は避けられる。その結果、化学的損傷が殆どなく、かつ充分な機械的強度並びに基板接着性を有するPTFE薄膜の作製に成功した。市販の安価で扱い易いレーザーを持ちいたPTFEの堆積の初めての例であり、その意義は極めて大きいと考えている。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)