Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
平成13年度は,金属間化合物TiAlの電気化学的手法による室温高延性発現挙動を検討し,Tiの電位-pH図上において,(1)酸化物が安定な電位域では環境脆化が認められず,真空中と同様の室温高延性を発現すること,(2)イオンが安定な電位領域では水素の侵入による著しい環境脆化が認められること(3)水素化物が安定な電位領域では非常に薄く緻密な水素化物の形成により環境脆化感受性が(2)の場合に比べて減少することを明らかにした.平成14年度は他の高強度Ti合金であるTi-6Al-4vに同様の手法を適用し,Ti合金としての室温高延性発現に関する電位-pH領域の明確化を目指した.その結果,溶液のpHが3以上の場合にはTiAlに認められた環境脆化が認められず,高延性を発現した.しかしながら,pH1の場合には極めて明確な環境脆化が生じ,延性が低下する電位域が存在した.すなわちTiの電位-pH図上で(1)酸化物安定電位域である-500mV以上では空気中と同様の延性を示し,(2)Tiイオン安定電位域である-500mVから-1500mVでは亀裂を伴う延性の減少が認められ,破断試料のXRD解析により水素化物が検出された.また,(3)水素化物安定領域である-1500mV以下では延性が(1)の条件のものと同値になるまで回復し,水素化物も検出されなかった.したがって,高強度Ti-6Al-4Vも金属間化合物TiAlと同様の機構により環境脆化が発現すると推察される.また,Ti-6Al-4Vの方がより低pHにおいて顕著な環境脆化を発現することから,Ti合金中のAl濃度が減少するほど,環境脆化が防止されることが示唆される.最後に,Ti合金の室温高延性発現のためには,水溶液中において酸化物安定領域に環境条件を設定することが重要であることを提案する.
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