Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2001: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
本研究代表者は昨年度の研究において、四座ホスフィン配位子を有するMo錯体[Mo-(dppe)(L)](1;dppe=Ph_2PCH_2CH_2PPh_2,L=meso-o-C_6H_4(PPhCH_2CH_2PPh_2)_2)が種々のα,β-不飽和カルボニル化合物と反応し、s-cis配向のR^1CH=CR^2CR^3=0がC=C, C=0結合でMoにπ-配位した[Mo(η^4-R^1CH=CR^2CR^3=0)(L)](2)を与えることを見いだしている。本年度さらにこの反応について検討したところ、(E)-R^1CH=CHCR^3=0(3,R^1=aryl, alkyl ; R^3=H, Me)との反応では、初めこれらの基質の幾何異性が保たれたままMo上に配位した錯体2Eが生成した。錯体2Eは室内光照射下において室温で徐々に異性化し、C=C結合における幾何異性が反転した(Z)-R^1CH=CHCR^3=0の配位した錯体2Zへと完全に変換された。さらに2Zは遮光下加温することにより、再び2Eに戻ることも見いだされた。一方、3においてR^1=R^3=PhまたはR^1=(E)-1-propenyl, R^3=Hの時も2Eが生成するが、2Zへの異性化は進行しなかった。錯体1と置換ベンズアルデヒドArCHOとの反応では、Mo上でアルデヒド二分子の還元的カップリングが室温で進行し、1,2-ビスアルコラート錯体[Mo(η^2-OCHArCHArO)(L)]が生成した。この錯体におけるアルコラート配位子はmeso体であることが、X線構造解析により判明した。ところで1は60〜70%の収率で単離できるが、その合成における副成物の結晶化・構造解析に成功し、Lの構造異性体を有する[Mo(dppe)(L')](4,L'=rac-o-C_6H_4(PPhCH_2CH_2PPh_2)_2)であることが明らかとなった。錯体4は1とは立体的に異なる反応場を与えることが予想され、また光学分割を行うことによってキラルな錯体または配位子としての利用が期待される。
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