Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
現状の沿岸域開発において、環境アセスメント法により課せられた事前・事後評価が行われているが、単独のプロジェクトで評価されることが多い。しかし大阪湾のような閉鎖性内湾において、大型埋立て開発が同時に進行する場合には他プロジェクトの影響も考慮して評価を行う必要があると考えられる。そのためには、単独プロジェクトの評価から広域へと拡張して事前・事後影響評価を行う必要がある。本研究では、複数プロジェクト開発の事後評価手法開発を行った。本課題では評価項目の中でも大きく変化する流況に注目した。建設前後の広域にわたる流況変化を見るために、人工衛星データを用いた新たな事後評価手法の提案を行う。建設前後の人工衛星データから流況を抽出し比較することにより、建設による流況および植物プランクトン基礎生産の変化を見る。具体的には以下の項目から構成される。1.大気・海洋領域を統合した放射光伝達シミュレーションプログラムを作成し、それを人工衛星データに適用することによって植物プランクトンの時間的、空間的変動を精度良く知る。2.開発したプログラムを大阪湾衛星データに適用し水温や植物プランクトンの空問分布を抽出し、埋立工事が周囲流況に及ぼした影響を見る。13年度は、放射光伝達シミュレーション用プログラムを大気部と海水部に分けて作成した。まず、放射伝達モデルの比較を行い、沿岸域に最適なモデルを選択した。また、計算に必要となるデータを収集した。収集項目は以下の通りである。大気部:大気成分(O3、H20、O2、CO2、CH4、N20)、浮遊微粒子の成分、粒径分布など海水部:水温、DO、COD、クロロフィル、P、N、懸濁物質量などこれらデータをもとに大気および水中光散乱シミュレーションプログラムの計算パラメタを決定した。プログラムは沿岸域の代表的な大気・海水成分の組合せに対応できるようにした。