景観に対する生理・心理的反応に成長環境が与える影響
Project/Area Number |
13760017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
園芸・造園学
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
多田 充 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (10302580)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2002: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 生理 / 心理 / 評価 / 原風景 / 景観 / 環境 / 脳波 |
Research Abstract |
本研究は人間の景観に対する反応に、成長環境がどのような影響を与えているかを明らかにすることである。本研究では、日本人と韓国人の成長環境の異なる被験者を対象に、複数の景観映像を提示し、その時の生理・心理的反応を測定した。 被験者の成長環境は大きく農村部と都市部の2タイプに分類した。この分類に当たっては、単に出生、成長場所ではなく、居住地の周辺環境や、記憶に残っている原風景なども参考にして行った。提示景観には、複数の景観構成要素が写っている山岳、草原、森林、都市、農村を撮影した8枚のスライドと、単純な景観構成を持つ空、葉、花、海を撮影した4枚のスライドを用いた。被験者の反応は心理的指標としては主観評価(嗜好性など)、感情状態(POMS法)、認知活動(眼球運動)を、生理的指標としては中枢神経機能(脳波)、自律神経系機能(血圧、心拍変動性)を測定した。 実験の結果、すべての被験者に共通してみられた傾向は、空間認識に関わる主観評価が類似しているということであった。嗜好性などの価値評価もほぼ同じ傾向を示したが、成長環境の違いがみられ、都市部で成長した被験者は農村部で成長した被験者よりも自然環境に対する代償可能性を低く評価していた。これは都市部で成長した被験者は自然に接する機会がより少なかったために、既存の自然に対して代償不可能であると評価する傾向が強くなったものと考えられる。 非言語的な生理的指標について、日本の被験者と韓国人の被験者を比較したところ、景観に対する反応の方向性は同じであったが、その反応の強さが異なった。特に韓国では珍しい景色(高層湿原等)に対しては成長環境に関わらず、興奮的な作用が強く見られた。このように成長環境にかかわらず、国民の間で差が生じたということは、おそらく国民性というレベルでの文化的背景が、景観に対する生理的な反応に影響を及ぼしたものと考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)