Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
申請者らは世界で初めてヒツジから病原性が弱いと推察されるネオスポラ原虫を分離した.昨年度は分離原虫のITS-I領域の塩基配列を検索し,ウシ由来ネオスポラ原虫(Neospora caninum : NC)とは3塩基の,イヌ由来NCとは5塩基の相違を見出した.また,マウスへの感染実験を行い,本原虫の病原性がこれまでに報告されているNCのそれらと比較して弱く,病変の好発部位も若干異なることを見出した.そこで,本年度は分離原虫とNCの基準株であるNC-1間の病原性の相違を分離原虫の由来動物であるヒツジを用いて検討した.また,成マウスに対する分離株の病原性は非常に弱かったことから,分離原虫の新生マウスに対する病原性をBALB/cマウスを用いて検討した.また,終宿主であるイヌでの感染後の体内動態を検討するべく,イヌへの感染実験を行った. その結果,新生ヒツジを用いた感染実験では,NC-1株を接種した新生ヒツジは神経症状を呈して死亡し,病理組織学的にも脳炎像が観察されたのに対して,ヒツジ由来株を接種した新生ヒツジでは観察期間中,明らかな臨床症状はせず,中枢神経系病変も非常に軽微であった.以上のことから,分離原虫の由来動物であるヒツジにおいても,分離原虫とNC-1株の間に明らかな病原性の差異が確認された.BALB/c新生マウスへの感染実験では,接種後2週目,4週目,および6週目のいずれにおいても中枢神経系で,タキゾイト/シストを伴う高度の炎症像が確認され,分離原虫は免疫系の確立していない新生子期マウスに対しては強い病原性を持つことが明らかとなった.また,イヌへの感染実験では,極少数のイソスポラ属のオーシストの排出を検出したが,その大きさは既知のNCのものより若干大きく,その特定には至らなかった.組織検索では,イソスポラ属の有性生殖世代および無性生殖世代を検出し得たが,現状ではネオスポラのものであるかどうかは確定できていない.
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