ヒト慢性肝疾患の進展機序における肥満細胞の役割について:特に血管作動性物質との相互作用に関する分子病理学的解析
Project/Area Number |
13770090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Human pathology
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
伊倉 義弘 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00240953)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | アンジオテンシン / エンドセリン / キマーゼ / 肥満細胞 / 門脈圧亢進 / 肝線維化 / 肝硬変 / 血管作動性物質 / 慢性肝炎 |
Research Abstract |
昨年度は肥満細胞キマーゼを組織アンジオテンシン産生系の一部と見なし、これを含めたアンジオテンシン系の肝硬変の病態への関与について明らかにすべく、主として免疫組織化学的検索にもとづいた研究に取り組んだ。その結果、肥満細胞キマーゼや組織アンジオテンシン系の発現亢進は、肝線維化の増悪や門脈圧亢進に関連していることを究明し得た。これらの所見は学会発表を通じた他研究者との意見交換により、その解釈に若干の変更が加えられ、再発表(次ページ、研究発表1)の予定であり、また雑誌へ投稿中である。 本年度は肝硬変組織におけるエンドセリン系と肥満細胞キマーゼとの関連について、免疫組織化学、定量的PCR法およびELISA法などを駆使し、蛋白およびmRNAレベルで解析した。結果として、諸家の報告と同様、肝硬変組織中のエンドセリン1濃度は正常肝に比べ有意に上昇しており、病態への関与が示唆された。一方、その産生系酵素であるエンドセリン変換酵素をmRNAレベルで、また肥満細胞キマーゼを陽性細胞数で検討したところ、肝エンドセリン1濃度との明らかな相関は得られず、確認のための追加検討を進めている。さらに、受容体に関してmRNAレベルで検討したところ、肝硬変組織に発現しているのは2つのサブタイプ(AおよびB)のうち、主としてTypeB受容体であった。これも諸家報告するところと同じであるが、TypeB受容体を介したエンドセリン1の肝線維化や門脈圧亢進への関与は現在なお論争のポイントとなっており、所見の解釈には慎重を要すると考えられた。加えて肥満細胞キマーゼの産生するエンドセリン1(1-31)は肝組織に含まれるエンドセリン1全体の1/10程度であった。したがって、その肝病態への関与については大勢を左右するものとは考えにくい。以上を踏まえ、本テーマについては今後も解析を継続し、所見の意味するところが明らかとなった時点で発表することとした。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)