Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
動脈硬化病変におけるLeY抗原の発現について免疫組織学手法を用いて検討した. 内膜の動脈硬化病変に存在する泡沫細胞は抗CD68抗体にて染色性を認めたが,LeY抗原の発現は弱い,あるいは認められなかった.内膜・中膜の境界部に存在する,あるいは中膜に存在する抗CD68抗体に対する反応性が弱いか認めない泡沫細胞ではLeY抗原の発現が認められた.このLeY抗原の発現はA型個体ではα-N-acetylgalactosaminidaseによる酵素処理後,B型個体ではα-galactosidaseによる酵素処理後に認められた.外膜からの新生血管侵入部周囲に存在する泡沫細胞にも染色性を認めた.内膜,中膜における細胞内の脂質含有量が少ない泡沫細胞ではLeY抗原の発現が強く,脂質含有量が多い細胞ではLeY抗原の発現が弱い,あるいは認めなかった. これらの結果から冠動脈,大動脈の粥状動脈硬化病巣に集簇する泡沫細胞はLeY抗原を発現しているが,A型個体はα-N-acetylgalactosaminidase処理により,B型個体はα-galactosidase処理により染色性が増強していることから,血液型がA型,B型個体においてはALeY, BleY抗原として発現していると考えられる. 粥腫周囲のshoulder regionにはTリンパ球が混在すると言われているが,この部位に存在する泡沫細胞ではLeY抗原の発現は弱い,あるいは認めなかった.中膜に存在する含有脂質量が少量の泡沫細胞にはLeY抗原の発現が認められた.泡沫細胞の存在部位,泡沫化形態によりLeY抗原の発現様式が異なることから,内膜でのTリンパ球との,あるいは中膜での血管平滑筋細胞とのインターアクションがLeY抗原の発現に何らかの影響を与えていると考えられる.また,細胞内脂質含有量の違いがLeY抗原の発現に影響を与えていることから,マクロファージの泡沫化の課程でLeY抗原が発現する,あるいは中膜の胎児化した血管平滑筋細胞が泡沫化した際にLeY抗原が発現することが推測される. α-(1,3)-fucosyltrasferase(α1,3FuT)はsLeX抗原合成に関与する糖付加酵素の1つである.マクロファージを変性リポ蛋白により泡沫化させることによりα1,3FuTファミリーのうち,FuTIVおよびFuTVIIの活性が減少することが報告されている.本研究において変性リポ蛋白によるマクロファージあるいは胎児化血管平滑筋細胞の泡沫化においてα1,2FuT活性が上昇,Le型抗原の合成経路のうちLeY抗原合成経路が活性化されることが推測された.
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