Research Abstract |
本研究の目的は,乳幼児の食物アレルギーにおけるeotaxinの役割について明らかにすることである。このため,臨床的に食物アレルギーと診断された患児31人(基礎疾患;アトピー性皮膚炎,蕁麻疹,アナフィラキシー,平均年齢2.41歳,0.41-10.16歳,男:女2:1)と健常児30人(平均年齢5.88歳,1.04-12.75歳,男:女17:13)の血漿中eotaxin値をELISA法で測定を行った.結果は,eotaxin値は患児群39.0-183.5pg/ml(平均102.5pg/ml),対照群16.0-165.0pg/ml(平均81.8pg/ml)で,患者群が有意に高値であった(Mann-WhitneyのU検定にてp=0.02)。また、患児群において血中好酸球数,血清IgE値と血漿eotaxin値との相関を調べたところ,血中好酸球数では弱い相関を認めたが,血清IgE値とは明らかな相関は認めなかった.以上からeotaxinは食物アレルギーの診断において有用であると考えられる。特に,一般にIgE値の上昇が明確でない乳児期においても健常群より高値であった。これは,乳児の食物アレルギーの診断に臨床応用できるのではないかという期待が持てる結果であった。以上より,血漿eotaxinは小児,特に乳児期の食物アレルギーにおいて健常群よりも有意な上昇を示し,その診断に有用であると結論づけ,臨床上にも重要な結果であるといえた。
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