Project/Area Number |
13770427
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Dermatology
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小松 真人 秋田大, 医学部, 助手 (10302267)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 表皮 / ABC蛋白質 / 脂質代謝 |
Research Abstract |
ABCタンパク質とはアミノ酸配列のよく似たATP結合ドメインを持ち、ATPの結合あるいは加水分解によって機能が制御されているタンパク質ファミリーである。真核生物のABCタンバク質において、ATP結合領域はちょうどカセットのようにペプチド鎖に2つ挿入されている。バクテリアのABCタンパク質において、2つのATP結合カセットはサブユニットとして膜貫通サブユニットと分子集合している。そのため、この一群の膜タンパク質は、ATP結合カセット(ATP Binding Cassette)の頭文字からABCタンパク質と名付けられた。角化細胞内部は外部環境とは非常に異なった環境に保たれている。それは、リン脂質二重膜に浮かぶさまざまな膜タンパク質がさまざまな物質やイオンを選択的に通すことによって保たれている。膜タンパク質は細胞内外にNa, K, H, Caなどのイオン濃度の差をつくり出している。さらにそのイオン濃度勾配を利用して、アミノ酸やグルコースなどの栄養素を細胞内に取り込むとともにATPの合成をする。 ABCタンパク質ファミリーは、膜輪送タンパク質の最も大きな遺伝子ファミリーである。これまでに400個以上のABCタンパク質遺伝子がいろいろな生物種から同定されている。最近は、さまざまな遺伝病の原因遺伝子が膜輸送タンパク質をコードすることがつきとめられ、その中でも特にABCタンパク質がヒトのさまざまな疾病と深く関係していることが明らかになってきた。現在のところ、ABCタンパク質の機能に関しては、不明な点が多いが、細胞膜において、脂質のFlippingに関与しているのではないかと考えられている。つまり、何らかのかたちで脂質合成に関与しているのではないかと考えられている。ヒトABC1遺伝子の点突然変異により、Tangier病(familial HDL deficiency with defective cholesterol efflux)が生じることが明らかになった。(Rust Set al. Tangier disease is caused by mutations in the gene encoding ATP-binding cassette transporter 1. Nat Genet 1999 ; 22 : 352-5.)また最近、弾力線維性仮性黄色種の原因遺伝子がABCタンパク質ファミリーの一種であるMRP6遺伝子であることが同定された。(Ringpfeil F et al. Pseudoxanthoma elasticum ; Mutations in the MRP6 gene encoding a transmemarane ATP-binding cassette transporter. Proc Natl Acad Sa USA 2000 ; 97 : 6001-6006). ABC3タンパク質に関する論文のノザンプロットデータによればABC3タンパク質は,肺胞上皮細胞に大量に発現している。ABC3タンパク質は、肺胞のサーファクタントの分泌に関与しているのではないかと推測されている。興味深いことに、肺胞上皮細胞を電子顕微鏡で観察すると、角化細胞の層板顆粒に非常によく似た顆粒が見られる。皮膚に特異的なABC3タンパク質が存在するとすれば、それは角層間脂質の合成に密接に関連していることが推測される。近年、アトピー性皮膚炎の患者皮膚におけるセラミドの低下などが報告されているように、脂質代謝と皮膚疾患の関係が注目を浴びている。皮膚に特異的なABC3タンパク質をコードする遺伝子をクローニングすることは、皮膚科学のみならず医学的、生物学的に非常に有意義なことと考えられる。またABC3タンパク質遺伝子のフラグメントが皮膚のESTクローンから多々報告されており、恐らくABC3タンパク質は皮膚において重要な働きをしていることが推測される。本研究は皮膚科領域において研究が遅れている脂質代謝と皮膚疾患の関係に対し分子生物学的にアプローチしようとするものである。平成13年度の目標はcDNAライブラリーの作製とライブラリーのスクリーニングを行うことを目標としていた。HaCaT細胞を高カルシウム培地で培養し、mRNAを採取した。このmRNAを用いてcDNA libraryを構築しつつある所である。
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