カハールの介在細胞の刺激伝達機能に関する形態学的解析
Project/Area Number |
13770721
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Digestive surgery
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
関 馨介 山口大学, 医学部, 客員助教授 (50318820)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 消化管運動 / カハールの介在細胞(ICC) / 胃 / c-Kit発現細胞 / マウス / カハールの介在細胞 |
Research Abstract |
昨年度は、単一器官におけるICCの分布部位による機能的異型性を解明するため、マウス胃の幽門前庭部、胃体部、胃底部の各部位についてc-Kit免疫組織化学的検索を行い、胃の部位、組織層の違いによりICCの分布様式が顕著に異なることを明らかにした。このことから、胃における自律的な蠕動運動は、筋層間神経叢のICC(ICC-AP)の出現する胃体部のある部位に始まり、筋層内のICC(ICC-CM, ICC-LM)は神経と筋の間での刺激伝達におけるneuromediatorとして機能するものと推定した。本年度は更に、胃各部位におけるgap junctionによるICC-平滑筋間の細胞間連絡様式を詳細に検討し、各部位での刺激伝達におけるICCの機能的意義について解析するため、これまでのc-Kit染色と同時に、c-Kit突然変異マウス(W/Wv mouse)及び同腹正常動物の胃各部位の筋層におけるgap junction蛋白(connexin; Cx 43)の分布について免疫組織化学的に検索を行った。 正常動物の幽門前庭部においては、Cx43抗体に対する陽性反応は主として筋層間神経叢領域に観察され、また散在性の陽性反応が輪走筋層に観察された。一方、胃体部ではCx43は筋層間神経叢領域には分布せず、輪走筋層の筋層間神経叢側の約2/3の層全体に観察された。胃底部では、Cx43は輪走筋層に散在性に分布するのみであった。またすべての部位にわたり縦走筋層にはCx43の分布は観察されなかった。W/Wvマウスでは、胃の全部位を通じて唯一ICCの存在が確認できる幽門前庭部の筋層間神経叢領域にのみCx43の分布が観察され、輪走筋層にはCx43の分布が全く観察されなかった。これらの観察結果から、幽門前庭部の筋層間神経叢領域のCx43はペースメーカーとして働くICC-AP相互間のgap junctionに相当し、輪走筋層に散在するCx43は、ICC-CMと平滑筋との間のgap junctionに相当することが明らかとなり、輪走筋層での刺激伝達において、幽門前庭部では主としてICC-平滑筋間のgap junctionを通じて刺激の伝達がなされることが示唆された。一方、胃体部では対照的に、gap junctionにより平滑筋が相互によく連絡し、主としてこれらのgap junctionを通じて刺激伝達がなされることが推定された。 以上、胃の各部位にはそれぞれに固有のICC、及びgap junctionの分布様式が存在することが明らかとなり、機能的に異型性を示すICCを中心とする各部位に固有の刺激伝達経路を通じて、胃における協調的運動の発現および調節がなされるものと推定した。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)