テトラヒドロビオプテリン代謝制御による胎盤機能不全治療に向けての理論的基盤樹立
Project/Area Number |
13770930
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Obstetrics and gynecology
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山枡 誠一 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (40315990)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | テトラヒドロビオプテリン / 妊娠 / 胎児 / 胎盤 / ビオプリテン / ネオプリテン / 妊娠中毒症 / 一酸化窒素 / ビオプテリン / ネオプテリン |
Research Abstract |
Tetrahydrobiopterin(BH_4)は,Nitric oxide(NO)合成酵素の補酵素であり,その代謝が内皮由来血管弛緩因子であるNOの生合成に重要な役割を果たしていると考えられている.胎盤循環におけるNO代謝の重要性が報告されていることから,胎児胎盤系BH_4代謝研究の重要性が高まってきた.胎児胎盤系BH_4代謝の全貌およびその病態生理学的意義を検討する目的で,平成14年度に以下のごとく研究し,成果を得た. 1.ヒト妊婦および胎児の血漿中NeopterinおよびBiopterin濃度 母体静脈および分娩時臍帯動静脈血漿中の濃度をHPLC法で解析した.その結果,母体に比して胎児血漿中NeopterinおよびBiopterin濃度が有意に高いこと,臍帯動脈でのBiopterin濃度が臍帯静脈に比して有意に高いこと,胎児血漿と母体血漿濃度の間に有意な相関関係が存在することが判明した.このことから,ヒト胎児に高活性のBH_4生合成系が存在すること,胎盤側に比して胎児側にその生合成系活性が高いこと,胎盤を介してBH_4の酸化代謝産物であるBiopterinが母体側に移動していることが示唆された. 2.ヒト胎盤におけるBH_4合成系の検討 上記研究から、ヒト胎児胎盤系に高活性のBH_4合成系が存在することが示唆された。そこで、胎児あるいは胎盤のいずれに主たる合成系が存在するのかを明らかにするために、胎盤のguanosine triphosphate cyclohydrolase(GTPCH)、6-pyruvoyl tetrahydropterin synthase、sepiapterin reductaseの酵素活性を解析した。その結果、胎盤におけるGTPCH活性が著しく低値であることが判明した.この結果から、胎盤のBH_4のde novo合成活性が著しく低いこと、胎児胎盤系BH_4は主に胎児内臓器における産生によって維持されることが示唆された。臍帯動脈でのBiopterin濃度が臍帯静脈に比して有意に高いことを考慮に入れると、胎児側より胎盤に対してBH_4が血流を介して供給されていることがさらに強く示唆された。また、この代謝動態が胎児による胎盤血流制を形成している可能性が考えられた。 本研究によって、胎児へのBH_4補充、あるいは、胎児内BH_4合成系賦活が機能不全に陥った胎盤の血流を改善する治療法となる可能性が示唆された。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)