Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Research Abstract |
歯科用セラミックスは,審美性に優れ,金属焼付用陶材冠,全部陶材冠,ラミネートベニヤなど臨床に多く用いられているが,非常に脆いという欠点を有する.セラミックス基複合材料は,既存の歯科用セラミックスの欠点を改善しうる高靱性材料として期待される.そこで本研究ではプリプレグを積層することにより繊維強化セラミックス(FRC)を試作した.さらにFRCの引張,曲げ,破壊靱性,摩擦摩耗試験を行い,試作したFRCの機械的性質を検討した. 本研究で作製したFRCの強化材には,SiC繊維,マトリックスにはSiCを用いた.本研究では,ドクターブレード法によりSiCスラリーにSiC繊維を含浸させ,プリプレグシートを作製した.その後,成形したプリプレグを積層した後に常圧成形し,FRCを成形した. 試作したFRCの機械的性質を検討するために,インストロン万能試験を用いて引張試験(試験片寸法:長さ60mm×幅10mm×厚さ1mm)および曲げ試験(試験片寸法:長さ40mm×幅4mm×厚さ3mm)を行った.破壊靱性試験は,曲げ試験と同様寸法の試験片に0.6mmのダイヤモンドカッターで試験片下面の中央部に予き裂を導入して行った.摩擦摩耗試験では,36±2℃蒸留水中で,ジルコニア製圧子を用いて垂直負荷荷重5Nを与え,線速度1cm/s,測定直径2.0mmの条件で行った. 試作したFRCの機械的性質は,繊維強化されていないSiCと比べて,引張強度は3.2倍,曲げ強度は2.0倍,破壊靱性値は5.7倍増加し,繊維補強効果が顕著に見られ,非常に優れた結果を示した.また摩擦摩耗試験により得られた摩擦係数にはほとんどの差は見られなかったが,試験後の摩耗深さは,FRCの方がSiCよりも小さかった. 以上のことから,既存の歯科用セラミックスに代わる,優れた性質を有した新しい歯科用FRCの開発に成功した.
|