Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2001: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
近年,医療機関を受診し疼痛や身体症状を訴えるものの原因が特定されず種々の診療科を転々とする患者は増加の一途をたどっている.研究者らは頭蓋口腔顔面領域の反射機能や生理機能を指標としてこれら患者の鑑別や疼痛,その他の身体症状の客観的評価法の確立を目指し検討をすすめている. これまでに研究者らは,患者の疼痛や身体症状の評価に体性自律神経反射を応用するための基礎的研究として,身体の一部に局所的な温度刺激を加えた場合,局所の皮膚血管が収縮あるいは拡張して反応するのみでなく,全身の血管に反射性の変化を及ぼすという生理学的根拠に基づき,片側顔面の冷刺激が対側顔面皮膚の血流変化を惹き起こすこと,交感神経の緊張が蝸牛神経機能に影響を及ぼす可能性などを報告してきた. 本科学研究費補助金により,健常成人を対象に,1)前腕への熱刺激が顔面の皮膚血流に及ぼす影響(第14回日本顎関節学会にて発表),2)片側手の冷刺激により全身の交感神経の緊張を誘発した際の手指ならびに顔面における交感神経性皮膚血管反応(第5回目本補綴歯科学会東関東支部会にて発表)を検討した. その結果,熱刺激に対しては,手指における交感神経の緊張が確認されたものの,顔面皮膚血流は増加した.一方,冷刺激に対しては,血圧は有意に増加するものの,刺激と対側の手指の血流減少が示された.しかしながら,顔面の皮膚血流は左右側頭部,前頭部のいずれの部位でも刺激前と比較して有意な変化は示さなかった.以上のことから,片側手の温度刺激に誘発される交感神経性皮膚血管反射には地域差が認められ,刺激の種類によっても異なる反射応答を示すことが示唆され,顔面皮膚の血流調節には複雑な神経機構の存在が推定された. 今後,適切な刺激部位や刺激の種類に関する検討を重ねれば体性自律神経反射を指標とした疼痛,その他の身体症状の客観的評価法を確立できるものと考えている.
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