上顎洞原発小細胞癌培養細胞株における生物学的特性と分化誘導の検討
Project/Area Number |
13771246
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Surgical dentistry
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
野口 一馬 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (50309473)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 小細胞癌 / 分化誘導 |
Research Abstract |
小細胞癌(SmCC)は、まれではあるが頭頸部領域においても発生し、放射線や抗癌剤に容易に耐性を獲得し、血行性転移を来しやすく、また主要臓器に容易に浸潤することから著しく予後不良である。われわれは上顎洞を原発とする小細胞癌の患者より培養細胞株を樹立した。本培養細胞株は免疫細胞化学染色においてNSE、GRP、CD56(N-CAM)を発現しており、肺原発小細胞癌と比較的類似した性質を持っていた。しかし、その細胞形態や増殖様式は肺原発のものと異なり、肺原発小細胞癌は浮遊細胞でコロニーを形成して増殖するのに対し、本培養細胞株は接着性を有し、上皮系悪性腫瘍培養細胞に似た増殖形態を示した。培養細胞を電子顕微鏡で観察すると、細胞質内に神経分泌顆粒の存在が示された。細胞の倍加時問は70.4時間で、immunoradiometric assay法を用いて培養上清中のNSEを測定したところ、細胞増殖と相関してNSEの増加を認めた。本培養細胞株はヌードマウス可移植性を有し、腫瘍重量とNSEとの間に相関関係が見られた。このように本培養細胞株は、肺原発小細胞癌培養細胞としての性質と上皮系悪性腫瘍の性質の両方を有しているものと考えられた。 また、本培養細胞株は予備実験においてdb-cAMPを作用させると形態学的に神経細胞様に形態変化をすることが確認された。この細胞の形態変化に対するdb-cAMPの至適濃度は100〜250μg/mlであった。この現象を解析するために神経細胞に特異的に認められるneurofilament-Hの細胞内の発現を免疫細胞化学染色を用いて検討すると形態変化後に有意に強発現していた。さらに、未分化神経細胞から成熟神経細胞に分化する際に特異的に形成されるmicrotubule-associated protein (MAP)-2が経時的に増加していくことがウエスタンブロット法にて明らかとなった。このように本培養細胞株はdb-cAMPによって神経細胞に分化誘導される可能性が示唆された。 以前より細胞における分化誘導では細胞内シグナル伝達系のp27の関与が報告されており、本細胞株の分化誘導に対してもp27の関与を検討したが、本細胞株の分化誘導にはp27の関与は認められなかった。最近、肺小細胞癌の分化誘導にはc-mycの関与が報告されたことから、現在われわれも本細胞株に対するmyc familyの関与を検討中である。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)