Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
p561ckはsrcファミリーチロシンキナーゼでT細胞以外にも転移性大腸癌細胞等での異所性発現が報告されている.またp561ck分子の活性化はTGF-αを介した上皮癌細胞のアンカー非依存症の増殖に必要であることが報告されている.本学免疫学講座の原嶋らはLck-208-216、Lck-486-494、Lck-488-496の3つの分子がCD8+T cellに認識されるエピトープペプチドであることを見出した.今回、我々はp561ckが口腔癌患者に対する癌ワクチン療法の標的分子になり得るかどうかを検索する目的で、口腔扁平上皮癌におけるp561ck分子の発現を免疫組織化学、ならびにRT-PCR法を用いて検討し、さらにp561ck由来ペプチドが口腔癌患者のPBMCからHLA-24拘束性CTLを特異的に誘導できるか検討した.その結果、p561ck分子は口腔扁平上皮癌組織の48%で発現を認め、またその転写産物はtype I promotorによってコードされることが明らかになった.さらにp561ck分子由来ペプチドは口腔癌患者11人中7人から特異的CTL誘導が可能であった.以上の結果から、p561ck分子が口腔扁平上皮癌患者に対するワクチン療法のよい標的分子になり得る可能性が示唆された.追記として当科においてもLckペプチドを用いた癌ワクチン療法の臨床試験を準備中である.