Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
本研究は,歯の移動により歯槽中隔骨髄領域で急速に誘導される破骨細胞形成に関与する分子機構を解明することを目的とし,以下の実験を行った. 1:ラット上顎第1臼歯に矯正力を負荷し近心移動した.移動開始前48時間前より12時間毎にプロスタグランジン(PG)合成阻害剤を投与し,骨髄領域の組織変化を検討した.生理的状態では,骨髄腔領域は,わずかな骨髄細胞と大きな血管腔で占められていた.コントロール群では,移動開始24時間後に,血管と骨の間に多数の線維芽細胞様細胞の増殖が認められ,相対的に血管腔の占める面積が減少した.同時にマクロファージ系細胞および破骨細胞が有意に増加した.In situ hybridization法により,増殖した線維芽細胞様細胞の破骨細胞分化誘導因子(RANKL)の発現が観察された.一方,PG合成阻害剤(インドメタシン)投与は,歯の移動後の線維芽細胞様細胞の増殖,マクロファージ系細胞および破骨細包の増加を,有意に抑制した.以上から,矯正力(メカニカルストレス)による急速な破骨細胞形成が,PGを介したRANKLの作用であることが推測された. 2:1をさらに検討するため,PG合成酵素であるCyclooxygenase-1,2ノックアウトマウスを用いた歯の移動実験を計画した.これに先立ち,マウス歯の移動モデルの確立を行ったマウス上顎切歯と第1臼歯間にNi-Ti closed coil spring (10g)を装着し,第1臼歯を近心移動した.その結果,マウス上顎第1臼歯は経時的に歯の移動量が増加した.組織学的検討で,歯の移動に同調して破骨細胞が出現し,骨吸収を行っていた.一方,牽引側において骨芽細胞による骨形成が起こっていた.以上から,今回確立した方法がマウスに対し生理的な状態で歯の移動を行うことが可能であることを示唆している.今後,ノックアウトマウスを使用した歯の移動実験を遂行していく予定である.
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