転写伸長因子S-IIによる新しい遺伝子発現制御機構に関する研究
Project/Area Number |
13771376
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Biological pharmacy
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 貴浩 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (00323452)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | マウス / S-II / 赤血球 / 胎生致死 / カイコ |
Research Abstract |
1.S-II遺伝子破壊個体の変異表現型 昨年度に樹立していたS-II遺伝子ヘテロ欠損マウスの雄雌ペアを交配し、仔マウスを複数得た。計112匹の4週齢の仔マウスの遺伝子型をサザンブロット法により解析した結果、野生型個体が45匹、ヘテロ欠損個体が67匹であり、S-II遺伝子をホモに欠損する個体は存在しないことがわかった。この結果から、S-II遺伝子はマウス胚発生に必須であることが考えられた。そこで、ヘテロ欠損マウス同士の交配からマウス胚を回収して解析した結果、S-II遺伝子をホモに欠損する個体は胎齢13.5日(13.5dpc)までは存在するが、その後は生存できずに出産までに死亡することが明らかとなった。13.5dpcのホモ欠損胚は、野生型・ヘテロ欠損型と比較して体色が白く、また肝臓の大きさが小さくなっていた。この結果から、S-II遺伝子ホモ欠損個体では胎児肝の発生に異常を来し、また胎児肝で起こるdefinitive hematopoiesisが影響を受けており、その結果重篤な貧血により個体の生存が維持できなくなったものと考えられる。これらの結果は、転写伸長因子が血液細胞分化に必須であることを示唆した世界で初めての知見である。 2.S-IIにより転写伸長段階で発現制御を受ける遺伝子群の同定 樹立したS-II遺伝子ホモ欠損マウスが致死する直前の12.5dpc胚において、野生型と比較してS-IIホモ欠損胚で発現が消失・減少する遺伝子群を、DNAマイクロアレーによる発現解析により網羅的に検索し、候補遺伝子群を30種同定することに成功した。これらの遺伝子のうち、少なくとも8種は赤血球特異的に発現することが知られており、項目1で述べたS-IIホモ欠損胚が赤血球分化に異常を示すという仮説とよく一致している。そこで赤血球特異的に発現する遺伝子であるbeta-globin, glycophorinA遺伝子についてノザンブロット法、RT-PCR法を用いて発現を解析した結果、ホモ欠損胚ではこれらの遺伝子発現が1/2〜1/4程度まで低下していることが明らかとなった。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)