ヒトとチンパンジー間におけるMHC領域の比較ゲノム解析
Project/Area Number |
13771434
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Human genetics
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
椎名 隆 東海大学, 医学部, 助手 (00317744)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | MHC / 比較ゲノム解析 / シークエンシング / チンパンジー / HLA |
Research Abstract |
チンパンジーは、種々のヒト感染ウイルスが共通して感染する唯一のモデル動物であることが知られており、MHC領域との相関が示されているヒト感染ウイルスには、HCV(C型肝炎ウィルス)をはじめ、ヒトとチンパンジー間で同様の症状を示すものとHIV(ヒト免疫不全ウィルス)のように感染はするものの、その後の発症経過が異なるものがある。これらのウィルスに対する感受性の少なくともその一部はMHC領域が規定している。したがって、チンパンジーのMHC領域のゲノム配列を解明し、ヒトの配列と比較することは、このようなウイルス感染に対する免疫能の差異を明らかにするとともに発症過程における機序の考察を可能とする。そこで、チンパンジーのBACクローンを用いて、MHCクラスI領域の約1.8Mbをカバーするコンティグマップを作成し、シークエンシング解析を完了した。その結果、HLA遺伝子族の一つであるMICとHLA-B遺伝子間においてチンパンジーにはヒトと比べて約95kbの欠失が存在する。また、欠失や挿入を除けば、ヒトMHC領域の遺伝子構造と一致しており、ヒトゲノム配列との多様性は既報どおりに1.4%であった。また、ドットマトリックス解析におけるチンパンジーに特有な配列あるいはヒトに特有な配列には、Alu, LINE, LTRなどの反復配列がおもに含まれているが、この解析を見た限りでは非常に類似した構造であることがわかった。ところが、多様性解析の結果から、発現遺伝子が密な領域やよく保存されているクラスI遺伝子近傍の多様性は1.0%であり、これは平均の多様性1.5%を下回るが、莫大な数の多型を有するクラスI遺伝子領域は逆に1.8%であり、1.5%を上回る。これは、前者が負の選択(negative selection)により遺伝子の機能が保存されてきた領域であり、後者が正の選択(positive selection)によりMHC遺伝子特有の多様性の増大の方向に進化してきた領域であると考えられた。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)