Research Abstract |
「痴呆性老年者の摂食行動自発性評価スケール(Self-Feeding behaviors' assessment tool for the elderly with Dementia : SFD)」の信頼性と妥当性を検討した。文献検討の結果,「摂食困難度」を判定できる測定用具が未だ開発されていなかったことから,SFDは痴呆性老年者の摂食行動における自発性の評価を基に判定できるように,本研究で作成した道具である。評価項目は(1)開始,(2)適切,(3)計画,(4)巧緻,(5)動作,(6)判断(7)集中,(8)覚醒(9)安全,(10)調節の10項目からなる。採点方法は,1週間の観察を基に評価項目ごとに「毎食できない」1点,「時々できない」2点,「毎食できる」3点の3段階のいずれかの採点を行う。「摂食困難度」は,10項目の合計評価点を基に10-19点は重度,20-25点は中等度,26-29点は軽度として判定する。妥当性は,内容的妥当性と基準関連妥当性によって検討した。内容妥当性を高めるために,Tully et al.(1997)の「食行動スケール(EBS)」,中島(1992)の「セルフケア能力の障害評価項目」,および山田他(1999)の「痴呆性老年者の摂食困難アセスメント表」を参考に評価項目を構成した。基準関連妥当性は,外的基準としてのNMスケール(r=.761,p<.001), N-ADL(r=.754,p<.001), GBSスケールのうちの知的機能(r=-.810,p<.001)および運動機能(r=-.803,p<.001)で、いずれも高い相関を認めた。信頼性は,内的整合性を示す指標であるCronbachのα係数が.921であり,折半法による信頼性係数は.902と.825であった。今回,高い妥当性と信頼性が得られたが,対象数が36人と少ないという限界がある。今後は対象数を増やすとともに,評価者間信頼性の分析を加え検討する必要がある。
|