Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
週1度の割合で、からだに何らかの障害のある人々(14名;障害の部位や程度は制限せず)が水中運動を実践した。1回あたり約70分の運動時間中、初めに水中ウォーキングを中心とした有酸素性の運動を約20分間実施した。その後約5分間、水中でのストレッチングを実施し、続いて約10分間水中でのレジスタンストレーニングを実施した。約10分間休憩を取った後、再び約20分間の有酸素性の運動(水中ウォーキングあるいは水泳)を行い、最後5分ほどクーリングダウンを実施した。1年間行った運動の長期的効果を調べるために、参加者に対して無記名、自由記述のアンケート調査を行った。その結果、「(1)障害や疾病の症状に何らかの変化があったか」に対しては、特に歩行能力の改善を挙げる回答が多く、その他、術後の回復が早かった、再手術をせずに済んでいる、腰痛が軽減し注射、服薬を止めることができた、現状を維持している、などの回答が得られた。「(2)障害や疾病に関わる部位以外の身体に何か変化があったか」に対しては、よく眠れるようになった、脚や腕の筋力が強くなった、という回答が多く得られた。また、体重が減少した、コレステロールが減少した、骨密度が増加した、風邪をひきにくくなったといった回答も得られた。「(3)精神的に何か変化があったか」に対しては、運動をするという楽しみができた。運動後に爽快感を感じる、前向きになった、自信がついてきた、明るくなったといった解答が得られた。質問項目中、精神的な効果に関する記述が最も多く得られた。「(4)日常生活の過ごし方に何か変化があったか」については、意識的に歩くようになった。積極的に外出するようになったといった回答が複数得られ、また家事を速やかに行えるようになったといった回答も得られた。障害があっても継続的に運動することによって身体的、精神的効果が得られ、それらはQOLの向上に役立っていることがわかった。