19世紀日本北方地域を対象とした地域情報の構築とその利用
Project/Area Number |
13780063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Human geography
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
米家 志乃布 法政大学, 第一教養部, 助教授 (30272735)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 北海道 / 蝦夷地 / 地図情報 / 江戸幕府 / 樺太 / 19世紀 / 19世紀日本 / 地図作製 |
Research Abstract |
本研究では、19世紀において江戸幕府が日本の北方地域を対象とした絵図・地図をどのように作製し、利用していたのか、を検討することを目的とした。従来の日本北方の地図史研究では、北海道・樺太・千島などの全体図や小縮尺の地図に関わる研究が主流であるとともに、それらを作製した幕府などの調査隊の人物史に関する研究が中心であった。そこでこれまであまり注目されてこなかった大縮尺の沿岸図・地域図をとりあげた。具体的な事例としては、幕府役人である目賀田帯刀作製の『延叙歴検真図』を中心に、歴検図の写本間の比較およびその前後に作製された他の絵図・地図類と比較しながら、第二次幕府直轄期である安政年間以降における江戸幕府の北方経営の一端について考察した。本研究では、絵図・地図を一貫して「情報」という視点から扱い、絵図・地図を作成するための情報収集のあり方・ネットワーク、絵図・地図に描かれた情報内容と表現方法、出来上がった絵図・地図の作製意図とその社会的役割、の3点に着目した。それらを踏まえたうえで、歴検図のカヴァーする地域が、東西蝦夷地と北蝦夷(樺太)で構成されていることに着目し、両地域における地域情報の構成・構築のあり方にも注目した。政治的権力が地域情報を直接に把握するうえで、大縮尺の地図は重要な手段である。本研究で取り上げた絵図は、測量された近代的な地図ではないものの、権力による幕末蝦夷地の情報把握という目的においては近代期以降の地形図と同様の役割を果たすものであると考えられる。その際、もうひとつ重要な論点として、報告者が考える地図の役割には、近代国家が備えなければならない「権威的」かつ「象徴的」な存在としての国土図、という側面があることを指摘しておきたい。また、幕末の蝦夷地を考える際に重要な問題として、「樺太」地域をどのように位置づけるのか、ということが挙げられる。樺太は幕末において「北蝦夷」と称され、幕府作製の絵図・地図上には明確に蝦夷地として描かれるようになる。そこには、江戸幕府による明確な境界画定の意図を読みとることができよう。しかし、東西蝦夷地と同様に、その絵図・地図は、和人による一方的な地域認識・地域表現であり、アイヌを始めとした多様な人々の存在を歪め、無視し、和人の土地としての蝦夷地を創出する手段のひとつであったことも忘れてはならないと考える。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)