分子生物学的手法を用いた土壌中における硫黄脱窒細菌を主体とした微生物群の検出
Project/Area Number |
13780447
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
環境保全
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 聖 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00323519)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 硫黄脱窒 / 硝酸態窒素 / 亜酸化窒素(N_2O) / 微生物群集解析 / PCR-DGGE法 / オンサイト処理 / 集積培養 / バイオスティミュレーション / 硝酸性窒素 / Thiobacillus denitrificans |
Research Abstract |
農業由来硝酸性窒素の硫黄脱窒による除去を試行している現場より採取した硫黄顆粒を、1)従属栄養性脱窒、2)硫黄脱窒、3)硫黄酸化の各条件に適した特異的培地により培養し、PCR-DGGEバンドの経時変化を測定した。元の試料中で優先していたDGGEバンド1s〜7sが示す細菌種は、本培養により、以下のような特徴を有することが明らかとなった。 1s、2s:シーケンシングの結果からは、光合成緑色硫黄細菌と考えられた。しかし、暗所、硫黄脱窒条件下においてもバンドのピクセル強度が増加したことにより、化学合成硫黄脱窒細菌である可能性が考えられた 3s:硫黄酸化に関与し、特に酸素感受性が強い細菌種と考えられた 4s、5s:シーケンシングの結果からは主要硫黄脱窒細菌であるThiobacillus denitrificansに近縁配列であったが、本システム内での硫黄脱窒は主に担っていないと考えられた 6s:硫黄脱窒条件下で特にバンドのピクセル強度が増加し、本システム内で主に硫黄脱窒に係わっている細菌種であると考えられた 7s:硫黄酸化条件下にて時間が経過するに従って出現してきたバンドであり、さらに実現場においても硫黄顆粒が酸素に触れやすい場で特に観察されたバンドであったことから、硫黄酸化を担う細菌種と考えられた。また、硫黄脱窒条件下ではバンドが全く見られなかったことから、硫黄脱窒能はもたない細菌であり、また、培養時、5Sと出現が相反する関係にあったことから、硫黄酸化反応において5sと競合にあると示唆された。 環境サンプルの場合、PCR-DGGE後のシーケンシングにおいても、「未同定」という結果になる場合が多く、各DGGEバンドが、どのような機能を担っているか推測しがたい。しかし、本手法のように、試料を特異的条件下で培養し、PCR-DGGEバンドの経時変化を、バンドのピクセル強度で追うことにより、各バンドの機能を推測できることが示された。硫黄脱窒における微生物群集解析は、充分な研究がなされていない実状にあり、今後も特に分子生物学的分野からのさらなる研究蓄積が望まれる。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)