音声の遺伝―方法論の検討ならびに双生児音声データの収集と分析
Project/Area Number |
13871063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
言語学・音声学
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
苅安 誠 九州保健福祉大学, 保健科学部・言語聴覚療法学科, 助教授 (00320490)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 音声 Speech / 遺伝 Genetics / 双生児 Twin / 声道長 Vocal Tract Length / 基本周波数 Fundamental Frequency(Fo) / 日本語の母音 Japanese Vowels / 一卵性 Monozygotic(Mz) / 二卵性 Dizygotic(Dz) / 音声Speech / 遺伝Genetics / 方法論Methodology / 変動の問題Variability Problem / 音声変動の統制方法Control Methods for Speech Variability / 音響パラメータAcoustic Parameters / 個体内変動Within-Subject Variability / 個人差(個体間変動)Individual Differences |
Research Abstract |
1.問題と目的:ヒトの音声は、音源が声道で共鳴を受けた産物である。この音声が家族で近似していることは知られ、遺伝的により近い形態をとる双生児では声道が類似するために、音声がより近似すると考えられる。これまで、双生児音声を知覚的に観察した報告は数多くあるが、それを定量化して遺伝で規定される音声の諸側面を調べた研究はあまりない。そこで、本年度は、双生児の音声の音響的特性について、一卵性と二卵性双生児ペアでの近似性を調べた。 2.研究対象:日本全国の多胎児サークルに文書で研究の依頼を行った。研究期間内に協力可能であったサークルの集い(青森、山梨、神奈川、福岡、宮崎)で、音声の収録を行った。対象は、幼児から学童の双生児ペア27組で、分析対象とした音声資料が収集可能であったのは、21組(一卵性MZ8組、二卵性DZ13組)であった。双生児42名(男子20名、女子22名)の年齢は、2〜12歳(平均4.52歳)であった。 3.方法:音声資料は、日本語5母音の持続発声とし、音響分析プログラムMulti-Speechを用いて解析を行った。母音の中央部を切りだし、音声基本周波数Foと共鳴周波数(F1,F2,F4)を測定した。さらに、音響理論に基づいて、F4値より声道長(声帯から唇までの距離)の推定値を求めた。統計処理として、MzとDzで別々に級内相関を求めた。 4.結果と考察:母音Foは、202Hz〜514Hz(平均307.6Hz)であった。級内相関係数は、Mzで0.73、Dzで0.09、であった。一方、F4(3930〜5560Hz)より推定された声道長は、10.70〜15.14cm(平均11.76cm)であった。級内相関係数は、Mzで0.86、Dzで0.34、であった。この声道長の級内相関の違いより、かなりの部分が遺伝で規定されると考えられた。 5.結論と展望:双生児の音声は、その基本周波数(声の高さとほぼ一致する)と推定された声道長において、近似しており、特に声道長が遺伝でかなりが規定されることが明らかになった。これは、声道が構造上個体に付随する管腔であり、その随意的変化が小さいものであることからも、支持される。一方、声の高さは意図的かつ場面への適応的行動として変化の可能性がより高いため、遺伝の影響が明確化されなかったのであろう。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)