Project/Area Number |
13874042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 憲昭 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30170773)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 高温強磁性 / Ca_xLa_<1-x>B_6 / 熱電材料 |
Research Abstract |
本研究課題が対象とした「高温強磁性物質」はCa_xLa_<1-x>B_6である。アメリカとスイスの著名な研究グループによるこの異常な強磁性の発見が1999年Nature誌上に発表されて以来、世界的な反響が巻き起こり、日本においても幾つかのグループが鎬を削って研究を進めてきた。我々もその強磁性発現のメカニズムを探るべく試料育成とその分析、磁化の測定を組み合わせてこの1年の間精力的に実験を行ってきた。しかし、我々がごく最近行き着いた結論は、上記高温強磁性はCaB_6に固有の本質的なものではなく、鉄に起因した不純物効果によるものである。物理学上、極めて残念な結果である。 いますこし詳しく述べれば、適当な試料育成条件を選ぶことにより、Laをドープしなくても(即ちCaB_6において)同じ強磁性転移温度を持つ強磁性状態を作り出すことができる。この試料を適当な濃度の酸に浸すことにより、強磁性が消失することを発見した。この酸をプラズマ発光分光装置で分析を行ったところ鉄が検出され、この鉄の濃度と減少した強磁性磁化の大きさの相関を調べたところ、これら2つの物理量に強い相関があることを見出した。これにより、われわれは上記の結論に至った。 この結果は、2002年3月に開催予定の日本物理学会年次大会で発表・報告する予定である。また、英文の論文も現在準備中である。 しかし、熱電材料としてのCaB_6の可能性がこれによって否定されたわけではない。実際、数百度程度の高温領域で大きな熱起電力を有していることに変わりはない。従って、次年度以降は、むしろ応用材料としての可能性を追求していきたい。
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