Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Research Abstract |
これまでの衝撃波実験では,高圧鉱物の合成や相転移の発生が困難であったので,本年度は天然の隕石を衝撃波実験の出発物質に用いて,衝撃波実験の前後で構成鉱物にどのような変化が生じるか調べた.こうした実験は,天然の隕石中に見られる衝撃組織から,隕石母天体での衝撃変成条件を直接推定することにつながる.衝撃波実験そのものは以前に行ったものだが,回収試料の解析に長い時間を要した. 出発物質には,衝撃変成のなるべく低いLake Labyrinthコンドライト(LL6,衝撃変成度S4)を用いた.この隕石の主な構成鉱物は,かんらん石,斜方輝石,透輝石,斜長石であった.この隕石を直径10mm厚さ1-2mmの円盤状に加工し,東北大学金属材料研究所の1段式ガス銃を用いて,試料を40GPa前後で衝撃圧縮した.衝撃波実験前と後の試料をそれぞれイオンミリング法で薄膜にし,分析透過電子顕微鏡で観察し,比較した. 衝撃波実験前後の試料を分析透過電子顕微鏡で観察した結果,以下のことが分かった.かんらん石には大きな違いが見られなかった.斜長石は,衝撃波実験前には少なくとも一部は結晶として存在していたのに対し,実験後にはすべてガラス化していた.斜方輝石は結晶の粒径が1μm程度であったものが20nm程度まで小さくなっていた.その一部には溶融脈らしきものが出来ていた.また,透輝石は(100)双晶の頻度が著しく増していた.かんらん石と斜長石の変化は,Stofflerら(1991)の衝撃変成の分類表とほぼ合致していた.しかし,透輝石に関しては,衝撃波実験では(001)双晶が形成されるとしたHornemann and Muller(1971)の結果と異なっていた.
|