Project/Area Number |
13874063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Petrology/Mineralogy/Science of ore deposit
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 博明 神戸大学, 理学部, 教授 (60019495)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 粘性係数 / 結晶組織 / 玄武岩 / 酸素分圧制御 / 回転式粘度計 / 斜長石 / 富士火山 / 火山岩結晶組織 / 1気圧溶融実験 |
Research Abstract |
この研究では、結晶を含むマグマの粘性係数の測定をおこない、粘性係数と結晶度、結晶組織、液組成との関係を定量的に把握することを目的とする。近年、富士火山等で噴火予測がおこなわれるようになり、溶岩流の計算機実験もより現実に近いものになりつつあるが、それに用いられる粘性係数については、経験的な式が用いられているものの、実測データは皆無に近かった。特に鉄を多く含む高温メルトの粘性係数測定は粒状のかんらん石をリキダス相として晶出するハワイソレアイトについてのもので(Shaw,1969;Ryerson et al.1988)、板状の斜長石が多く晶出する島弧玄武岩についての実験的研究は知られていない。今回は、富士火山1707年玄武岩を用いて、粘性係数測定と結晶組織の観察をおこなった。 今回の測定は雰囲気制御した電気炉の上部に粘度計(東機産業、TV-10U型)を設置し、そこからステンレス棒、セラミック棒を接続して白金ルツボの高温玄武岩質融液にひたし、回転トルクを測定することにより粘性係数を求めた。温度をステップ状に20℃ずつ降下させ、各温度で数時間以上保持した後に、粘性係数を測定し、そのセラミック棒の先端は引き上げ、埋め込んで顕微鏡観察、epma分析をおこなった。この条件での粘性係数の較正は、JIS標準液を用いておこない、先端の効果については、その高さを変化させて経験的に求めた。炉の雰囲気はCO2/H2=400/10の混合気体を流速約0.5cm/sで流し、ほぼNNOの条件で実験をおこなった。各温度での最初の測定セッションでは初め大きな粘性を示しその後指数関数的に粘性係数が減少するのが観察された。これは一見、チクソトロピー(歪速度により粘性係数が変化する現象)かと思われたが、文献を見ると回転式粘度計について特有の問題があるので、必ずしもそれに帰することはできないと判断し、できるだけ歪速度の小さい条件での値を採用することとした。 富士1707玄武岩の粘性係数は1220℃で48Psecから1140℃で570Psecと、80℃で1桁以上の増加を示す。結晶は大半が薄板状の斜長石で、結晶度は0〜20%である。1160℃以上のデータで回帰式は、η=8.44^*exp(-11^*exp(4.054/T)(R=0.98)であった。これは液組成を一定にした場合のShaw(1972)を用いて計酸した場合よりも温度依存性がほぼ2倍であり、結晶の存在の効果が現れている。結晶作用により液組成が変化するが、各温度での液組成を測定してShawの式で計算するとリキダスの液よりも粘性が低く、これは斜長石の結晶作用により液にMg, Feが富みAlが乏しくなるためであり興味深い。今後、より低温での測定をおこない、2003年秋の学会で報告、論文投稿の予定である。
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