フォトクロミズムを有する金属錯体の合成-光記憶素子への応用
Project/Area Number |
13874084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Inorganic chemistry
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
宗像 恵 (宗像 惠) 近畿大学, 理工学部, 教授 (80090942)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | フォトクロミズム / フォトクロミック錯体 / 銀錯体 / 配位高分子 / 二次元構造 / 結晶構造 / 変換率 / 白金錯体 / 錯体合成 / チエニルエテン / 光反応 / 光照射 |
Research Abstract |
本研究ではジアリールエテン誘導体のcis-1,2-dicyano-1,2-bis(2,4,5-trimethyl-3-thienyl)ethene(cis-dbe)が柔らかい塩基であるシアノ基およびチエニル基を有していることに着目し、柔らかい酸であるAg(I)との錯体を合成し、その構造とフォトクロミズムとの関係を明らかにした。 cis-dbeを有する5種の新規Ag(I)錯体[Ag_2(cis-dbe)(X)_2](X=CF_3SO_3(1),CF_3COO(2),C_2F_5COO(3),C_3F_7COO(4),C_4F_9COO(5))の合成に成功した。Ag(I)錯体1-5は、単結晶X線構造解析の結果から、いずれもcis-dbeの2つのシアノ基と2つのチエニル基で4つのAg(I)を架橋し、一次元鎖構造を形成していることを明らかにした。錯体1と2は対アニオンがさらに一次元鎖内のAg(I)を架橋しているが、錯体3,4および5では、対アニオンは一次元鎖内ではなく一次元鎖間のAg(I)を架橋することによりこれまでに例のない二次元シート構造を形成していた。 これらのAg(I)錯体1-5のフォトクロミズムについて検討した結果、いずれも450nmおよび520nmの光照射によって結晶状態において可逆的にスペクトル変化することが示された。これによりチエニル基にAg(I)が配位し、一次元鎖および二次元シート構造を有するこれらの錯体が結晶状態においてフォトクロミズムを示すことを明らかにした。新たにσ結合を生成するC…C間距離チエニル基の回転過程における立体障害となるC…F間最近接距離およびAg-S結合距離が閉環反応速度および変換率に影響を与えることを示した。また、錯体2および3がAg(I)との錯形成によってmetal-freeのcis-dbeの変換率を上回ることを明らかにした。さらに、Ag-S結合距離がAg(I)とアニオンのOとの平均結合距離に依存していることを示し、アニオンを選択することにより閉環体への変換率が制御できることを示した。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)