染色体バンド境界がハイリスク・ハイリターン領域である可能性の検証
Project/Area Number |
13874101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
遺伝
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
池村 淑道 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 教授 (50025475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深川 竜郎 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 助手 (60321600)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Keywords | 染色体バンド / S期内複製時期 / GC含量 / SNP / 複製時期の転換部位 / 遺伝子密度 / 病因遺伝子 / がん遺伝子 |
Research Abstract |
高等脊椎動物の複製は、200kb程度のレプリコンの単位で起き、数個から数十個のレプリコンがクラスターとして同調的に複製を開始する。このクラスターがバンド領域に対応しており、S期前半と後半のバンド間での複製時期の差は、複製開始時期の差を反映している。ヒト21番染色体長腕(35Mb)および11番長腕(80Mb)の全域を対象に、約450箇所のSTS部位の複製時期を塩基配列レベルで測定し、詳細な複製時期地図を作成した。11qおよび21qの解析から、GC含量の区分境界と複製時期の転換部位との間に密接な関係が存在しており、バンド境界の分子レベルでの要件をみたすことが判明した。複製時期の転換領域およびその周辺領域は、SNPの高頻度領域とも関係していた。S期前半から後半への複製時期の転換部位には腫瘍関連遺伝子や、家族性アルツハイマー病と関係したAPPや家族性ALSの原因遺伝子のSOD1、てんかん症と関係したGRIK1などの脳神経疾患遺伝子類が存在していた。11qおよび21qについて、マウスゲノムと比較し、染色体レベルで相同性の切り替わる部位を特定したところ、これらの部位は複製時期の転換領域またはその近傍に集中していた。複製時期の転換機構はヒトの疾患およびゲノム進化の分子機構と密接に関連しており、ゲノムに多様性をもたらす原因のひとつであると推定した。個体レベルで疾患を引き起こす可能性がある点ではハイリスク領域である。一方、進化的な視点に立てば、遺伝子コピーを増大させ、突然変異を起こし機能上の多様性の獲得を可能にすると考えられ、ハイリターン領域であるとのモデルを発表した(Human Molecular Genetics,11,13-21,2002)。また、我々のこのモデルはScience,294,2282(2001)にも紹介された。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)