自己免疫疾患としての小児 H.pylori胃炎の解析
Project/Area Number |
13877115
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Pediatrics
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 邦彦 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60091451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 満 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員
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Project Period (FY) |
2001 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2003: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2001: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 小児H.pylori胃炎 / 消化管免疫 / 自己抗体 / IgG抗体 / IgA_1抗体 / IgA_2抗体 / アポトーシス / Toll-like receptor / 小児H. pylori胃炎 |
Research Abstract |
小児H.pylori胃炎では成人に比してリンパ濾胞の形成が多いのが特徴的であり、ナイーブT細胞やB細胞の浸潤が目立つ。成人のH.pylori胃炎では、IFN-γが誘導され、IL-4やIL-5を抑制するTh1型反応であることが強調されているが、小児における今回の検討では異なる結果が示された。おそらく、成人の場合におけるTh1優位の免疫反応は、慢性炎症を示しているものと考えられ、H.pyloriが感染することでひきおこされる炎症の早期の像をみたものではないと思われる。本研究で明らかになった粘膜局所における小児で特異的な免疫反応は、慢性感染化した成人例では明らかにすることができない、感染早期におけるH.pyloriに特異的な免疫反応をみていると考えられる。 私たちはこれまで、Toll-like receptor (TLR)を有するマクロファージが粘膜上皮間に侵入して重要な役割を果たしていることを明らかにしてきた。さらに成人におけるH.pylori感染と異なり、TUNEL法および抗PARP抗体法にて、胃粘膜上皮細胞のアポトーシスが除菌後に多く観察された。これは小児H.pylori胃炎にて浸潤しているB細胞と関係していると考えられ、成人との大きな違いである。これらの細胞から産生されている胃壁細胞に対する自己抗体が、アポトーシスを誘導していると考えられた。但し、H.pylori胃炎組織の組織培養を行い、その上清中に存在する胃壁細胞に対する自己抗体の検討を行ったが、すべての症例で自己抗体が検出されたわけではなく、症例数を増やして検討する必要がある。自己抗体はIgG抗体、IgA_1抗体、IgA_2抗体のサブクラス毎にその存在を検討し、粘膜局所に浸潤しているBリンパ球・形質細胞からは、胃壁細胞に対する自己抗体として、全身免疫系のIgG抗体よりも粘膜免疫に特徴的な抗体であるIgA抗体が中心に産生されているのを明らかにした。 以上より、小児H.pylori胃炎ではナイーブT細胞、B細胞、TLR陽性マクロファージなどを中心とした原始的な免疫反応がその初期の病態の中心であり、さらにその慢性化に胃壁に対する自己抗体およびそれによって誘導されるアポトーシスが関係していることが示唆された。小児の消化管免疫に着目した研究は他に類をみず、貴重な研究であると考えられる。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)