Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
象牙細管内容液には歯髄内圧に由来した外向きの流れが存在し,この流れが象牙質表面の細菌や刺激物質の侵入を防御するばかりでなく,象牙質に作用された薬剤の歯髄側への侵入も抑制している.そこで,本研究では歯髄方向への静水圧とイオン導入が露出象牙質に加えた薬物の象牙細管を経由した歯髄への送達にどれほど貢献できるかを解明した. 1)健全犬歯をもつ17匹の成ネコで,象牙質先端を露出させ,酸エッチングした.歯髄側に向かう圧力を,歯牙チャンバーを介して象牙質に加えた.歯頚部と歯頂部に電極を装着し,機能的単一歯髄神経線維を分離した.チャンバー内には50%リドカインを容れ,20分間0-10.0kPaの圧を加えた.2)0.70mm厚さの象牙質ディスクを48本のヒト新鮮抜去大臼歯から得,スプリットチャンバー装置に装着した.エナメル側チャンバーにはメトロニダゾール,サリチル酸ナトリウム,ナプロキセンナトリウム溶液を容れた(0.05モル/リットル,pH7.4).0.05mAで10分間イオン導入した後に,象牙質ディスクを通過した各サンプルを分光光度計で計測した. その結果,1)歯冠電極への陰極通電に対する全ての順行性神経応答は,どの圧力(0-10.0kPa)でもリドカイン作用後にブロックされた.逆行性複合活動電位の振幅は,加えた圧力が大きくなるほど有意に減少した.2)イオン導入は全ての薬剤の拡散をコントロールと比較して促進した.この促進は,健全象牙質とう蝕下の象牙質の両方で観られた. 歯髄方向への静圧力増加とイオン導入は,薬物の象牙細管を経由した歯髄内送達を促進した.今後,(1)象牙質窩洞形成を対象とした,切削時の疼痛に対する注射針を用いない無痛局所麻酔への発展や(2)可逆・不可逆の境界領域の歯髄を対象として,抗炎症約薬を歯髄に送達することで,歯髄保存(救済)の可能性を拡大するという今後の発展への可能性を秘めている.
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