Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
当研究室では,N-フタロイルアミノ酸を架橋配位子として組み込んだキラルなロジウム(II)カルボキシラート錯体を用いることにより,α-ジアゾカルボニル化合物より生成する環状カルボニルイリドの高エナンチオ選択的分子間1,3-双極付加環化反応の開発に初めて成功している.この結果は,従来の定説とは異なり,カルボニルイリドがキラルなロジウム(II)錯体との結合を保持して付加環化することを示している.そこで上記反応でその存在が明らかとなったロジウム(II)錯体-イリド複合体からなる反応性分子素子の創製の一般性ならびに有機合成への利用の可能性について検討した結果,以下の成果を得た.(1)キラルなロジウム(II)錯体を用いる環状アリルオキソニウムイリドの分子内不斉[2,3]-シグマトロピー転位反応を行ったところ,最高不斉収率76%eeで対応する転位体を得ることに成功した.オキソニウムイリド上の酸素原子の反転のエネルギー障壁は極めて小さいことから,オキソニウムイリドにおいてもキラルなロジウム(II)錯体との結合を保持して付加環化することを示している.(2)本反応を環状プロパルギルオキソニウムイリドの不斉転位反応へ適用したところ,最高79%eeで転位体を得ることができた.環状アリルオキソニウムイリドの転位反応で観察された[1,2]-Stevens転位の競争は完壁に抑制することができた.(3)キラルなロジウム(II)錯体を用いる環状スルホニウムイリドの分子間不斉[2,3]-シグマトロピー転位反応を行ったところ,最高不斉収率58%eeで対応する転位体を得られた.用いる触媒の構造はジアステレオ選択性に影響を与えなかったことから,スルホニウムイリドはキラルなロジウム(II)錯体との結合を保持せず,遊離のキラルなイリドを経て付加環化が進行すると考えられる.
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