ムピロシン耐性を獲得したメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の遺伝子解析
Project/Area Number |
13877399
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Laboratory medicine
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 恵子 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (00291253)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | MRSA / ムピロシン耐性 / パルスフィールドゲル電気泳動 / 院内感染 / 除菌 / E-testによる感受性検査 / ムピロシン耐性遺伝子の検出 / 分子疫学的解析 |
Research Abstract |
本研究は、院内感染の原因菌として問題となっているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の計画的除菌を試みた本院のある病棟について、MRSAの保菌率・発症率・感受性およびパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)による疫学的解析を行い、耐性菌の出現様式を明らかにした。 MRSAの保菌者が入院患者の約59%を占めていた(非投与期間)病棟で、保菌者数の減少を目的として、グラム陽性球菌に効果の高い抗菌薬であるムピロシンを計画的に鼻腔に塗布した。連続3日間、1日3回の塗布を毎週行う(protocolA、3ヶ月)ことにより、保菌率は8週後に0%にまで低下したが、同塗布を月に1回とした(protocol B、6ヶ月)ところ、徐々に保菌率が上昇し、平均22.8%、最大50%となった。そこで、月2回とした(protocol C、5ヶ月)ところ、12週後に0〜10%に低下した。ムピロシンの長期投与により耐性菌が増加することが懸念されたため、1日1回ポピドンヨード含有クリームを塗布する方法(protocol D、25ヶ月)に変更したところ、保菌率が徐々に上昇し(平均34.3%)、16ヶ月目から発症例が散見される(平均2.3%)ようになった。そこで、投与対象を28週未満及び1000g未満の児・生後1週間以内に手術が予定されている児・他施設から手術目的で移送された児に限って入院時に塗布を行った(protocol E、8ヶ月)が、平均保菌率53.3%・平均発症率4.2%と改善が認められなかった。 Protocol C以前の分離菌はディスク法による感受性検査ですべて感受性であったが、protocol D開始以降は低感受性を示すようになり、発症患者が出現したのと同時に耐性株が出現し始めた。以後は本病棟より低感受性株と耐性株がほぼ同数検出される時期が続いた。本病棟から分離された耐性株のほとんどは>512μg/mlのMICを示す高度耐性株であり、高度耐性遺伝子を保持していることをE-test及びPCRで明らかにした。 本病棟および他病棟から検出された菌をPFGEで解析し、調べた株のうち本病棟株の97.5%が同一株または近縁株であることが明らかになった。一方、他病棟から検出された株の71.9%は近縁種ではないと判断された。 以上の結果は、ムピロシンの長期使用により耐性菌が出現し、本病棟内で伝播したことを示唆する。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)