Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
私たちが新たに同定した小胞体膜蛋白質のermelinは,酵母から高等動植物に至る真核細胞のさまざまな膜蛋白質に広範に見いだされる新規のモチーフ配列HELP(ErH)ドメインをもつことから,全真核細胞に共通にみられる重要な機能をになっていると予想される.そこでこのHELPドメインをもつ蛋白質の細胞機能と,HELPドメインの機能を明らかにすることを本研究の目的とした.HELPドメインおよびそれに相同性のある配列をもつ蛋白質をデータベースから検索した結果,HELPファミリー蛋白質はZn^<2+>トランスポーターのZIPファミリー蛋白質とともにスーパーファミリーを形成していることが明らかになった.このHELPドメインの一部はZn^<2+>結合のコンセンサス配列に類似していることから,Zn^<2+>を結合すると考えられる.Ermelinはマウスの脳と精巣に高く発現しており,脳では海馬と小脳に特異的な発現がみられた.また神経芽細胞腫N1E-115細胞の分化の過程で発現が誘導された.そこでermelinをN1E-115細胞にトランスフェクトすると,神経突起形成が誘導された.このとき神経細胞分化にかかわる転写因子CREBのSer133がリン酸化され,さらにCREBの活性化を介したCRE活性が上昇した.またCaMKIVのドミナントネガティブ変異体や,CaMKIVをリン酸化して活性化するCaMKKのドミナントネガティブ変異体を共トランスフェクトした場合にも抑制された.Zn^<2+>にはCa^<2+>と同様にCaMKIIやPKCを活性化する作用が知られていることから,これらの作用はZn^<2+>によるCaMKKの活性化を介してもたらされた可能性が考えられる.Ermelin HELPドメインに結合する新規の蛋白質のcDNAを酵母two-hybridスクリーニングによりマウス脳cDNAライブラリーからクローニングし,これらの蛋白質をhelphin 1,2と命名した.Helphin 1,2とermelin HELPドメインとの特異的な結合がtwo-hybrid結合アッセイにより示された.特にhelphin 2にはZnフィンガーモチーフが存在し,ermelinとhelphin 2が同時にZn^<2+>結合にかかわっている可能性が考えられる.したがってHELPドメインは,Zn^<2+>結合だけでなくhelphin 1,2を含む蛋白質との結合にも関与していると考えられる.
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