Project/Area Number |
13J00123
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
ヨーロッパ文学(英文学を除く)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮崎 麻子 筑波大学, 人文社会系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2013: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 東ドイツ文学 / 亡命文学 / 記憶 / 想起 |
Research Abstract |
本研究課題の実施開始よりおよそ半年という短期間であるため、計画の全体からみれば一部分の研究対象を扱い始めたところである。 その中でまず、以前の研究との連続性がある旧東ドイツの記憶の問題に関しては、昨年までの博士課程での研究成果をふまえ、日本独文学会でのドイツ語での口頭発表と、受入機関である筑波大学のドイツ文学の雑誌に日本語論文を投稿(採用決定)し、成果を発表することができた。それらでは、ユリア・ショッホとアンゲラ・クラウスという東ドイツ出身の作家の小説を手がかりに、東ドイツ出身者が東ドイツ崩壊後に直面することがある時間感覚の変化について考察した。東ドイツ時代における進歩思想の退却には西側にはない失望も伴っている。また、急な資本主義社会への転換においては社会の変化の速度への戸惑いも生じる。そうした諸条件のもとで時間認識が変化する中、未来だけでなく、過去も固定されたものとしてではなく、複数の可能性を伴って思い出されるという傾向がこれらの作品には見て取れる。 次に、チェルノヴィッツ出身でフランスに亡命した詩人パウル・ツェランの作品の研究に着手した。ツェランはホロコーストの記憶との関連で有名な詩人であるが、本研究課題にとって彼の作品は、現在との断絶のなかで<失われたもの>として現れる過去とはいかなる存在であるかを考える手がかりとして位置づけられる。このような視点において「氷、エデン」という詩を扱い、東ドイツの例と比較したうえで9月の国際学会で発表した。本研究課題の視点で試みた分析結果は以下である。この詩における氷のイメージが示すのは、この世から失われた死者の記憶は手の届かないものだという一種の想起不可能性と、それでもなお想起を試みる体験である。というのもこの詩では、謎めいた詩的言語を読むという体験が、氷のイメージを介して、決まった答えのない対象に取り組み続ける想起の様態の体験となるからだ。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)