Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
平成26年度に実施した研究の主要な成果は以下の通りである。(1)『和泉式部物語』応永本系統に属し、これまで学界に未紹介であった桑原本(島根大学附属図書館桑原文庫蔵)が、同系統の他伝本とは全く異なる書承関係にあることを、桑原本が備える特徴的な本文についての比較検討を通して明らかにした。この結果を踏まえることにより、応永本系統の祖本に関する従来の想定を更新し、系統上の祖本の位置をより古い段階まで引き上げることが可能となる。(2)これまで『和泉式部物語』の一伝本として名称のみが知られていた竹柏園本(天理大学附属天理図書館蔵本)が、実際は『うつほ物語』の複数巻(春日詣・菊の宴・沖つ白波・国譲下)に相当する本文群で構成されており、その一部が現在の流布本である前田家本とは異なる系統の本文を留めていることを明らかにした。(3)『和泉式部物語』応永本・寛元本に存し、これまで単に「帥宮との恋愛関係」の意に解されてきた「まじらひ」という語が、正しくは「宮仕え」の義であることを、用例の検討によって提示。最善本とされている三条西家本にはみえないこの語を通して、宮邸入りに際する女自身の召人としての意識が、応永本・寛元本の独自の作品世界として読み取られることを明らかにした。上記のうち(1)は『国語と国文学』(東京大学国語国文学会)第92巻1号に公表し、(2)は『古代中世文学論考』(新典社)第30集に公表した。未公表の(3)についても、平成27年度中に刊行予定の主著学術図書に収載することが決定している。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2015 2014 2013
All Journal Article (7 results) (of which Peer Reviewed: 5 results)
国語と国文学
Volume: 第92巻1号 Pages: 37-51
40020292913
古代中世文学論考
Volume: 第30集 Pages: 92-171
國語國文
Volume: (印刷中)
40020110696
国語国文研究
40020146673
Volume: 第143号 Pages: 18-32
40019713638
Volume: 第82巻8号 Pages: 14-28
40019795677
Volume: 第29集 Pages: 89-109