Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2014: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2013: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
本年度は, 電子ビーム蒸着法により製膜した膜厚が500nmの自立銅(Cu)ナノ薄膜を対象とした疲労き裂進展試験を実施するとともに, その場ナノ観察・結晶方位解析手法を用いて疲労き裂進展特性と進展機構を明らかにした. さらに, 金属バルク材の疲労き裂進展特性・進展機構との違いを明らかにした. 疲労き裂進展特性に及ぼす応力比の影響を検討した結果, 疲労き裂進展速度da/dNを応力拡大係数範囲ΔKで整理すると, 応力比が大きいほどda/dNが大きくなる応力比依存性が全ΔK領域で見られた, つぎに, da/dNを最大応力拡大係数K_<max>で再整理すると, K_<max>が大きい領域(高K_<max>領域)では応力比に関わらずda/dNはK_<max>に支配された. この領域では, 引張破壊モードが支配的な進展機構であった, 一方, K_<max>が小さい領域(低K_<max>領域)では応力比が小さいほどda/dNが大きくなる応力比依存性が見られた. この領域の進展機構は, 応力比が大きい場合は高K_<max>領域と同様に引張破壊モードが支配的であった. 一方, 応力比が小さい場合は, 疲労き裂先端前方の双晶境界近傍の双晶塊界に平行なすべり面において, 面外損傷である入込み・突出しを形成し, これらと主き裂が合体することにより疲労き裂が進展する機構であった, この進展機構は, 金属バルク材の疲労き裂進展機構とは大きく異なった. さらに, 電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM)内引張試験機を開発し, これを用いて自立Cuナノ薄膜の疲労き裂の開閉口挙動をその場高倍率FESEM観察した結果, 自立Cuナノ薄膜の疲労き裂においてもき裂閉口が生じることを明らかにした, さらに, き裂開閉口挙動のFESEM像を基に有効応力拡大係数範囲ΔK_<eff>を求めた. これを用いてda/dNを整理した結果, 低K_<max>領域のda/dNをΔKで整理した場合に見られたda/dNの応力比依存性は, き裂閉口に起因する可能性があることを示した. さらに, da/dNをΔKeffで整理した場合, バルク材に比べてda/dNが大きいことを明らかにした.
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