Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究は、発達期だけでなく、成熟後も生じるニューロンやグリアの新生・分化に着目し、28日間反復投与試験での発達神経毒性の検出性を視野に入れた、網羅的遺伝子発現解析技術を利用した新たな神経毒性評価手法の開発を目的とする。昨年度までに、発達神経毒性の陽性対照物質として、抗甲状腺剤であるプロピルチオウラシル(PTU)を用い、ラットに対する発達期および28日間反復投与実験の両暴露実験で障害性を反映する遺伝子発現プロファイルおよび免疫組織化学的に評価可能な障害性指標候補分子を獲得した。さらに、エピジェネシスを基盤としたニューロン新生障害検出のため、メチルニトロソウレア(MNU)のマウス発達期暴露実験を行った。本年度は、障害機序の異なる5物質のラットへの暴露実験で得られたマイクロアレイデータとの比較により、様々な毒性機序に基づく発達神経毒性の予測に有用と考えられる脳部位および遺伝子セットを検索した。その結果、海馬歯状回及び帯状回が髄鞘形成及びオリゴデンドロサイト分化、海馬歯状回がニューロン新生、シナプス伝達および軸索形成、海馬歯状回および帯状回が細胞移動、広範な領域がDNA傷害によるアポトーシスに対して高感度であることが示された。また、瑞祥形成障害、ニューロン新生障害、シナプス可塑性変動、細胞移動障害の各毒性機序に基づく高感受性標的部位における毒性指標遺伝子セットを獲得した。これらの結果より、ラットに対する28日間反復投与試験の脳材料を用い、各毒性機序の高感受性標的部位について毒性指標遺伝子セットの発現変動を検索することで、毒性発現機序に基づく発達神経毒性の予測の可能性が示された。一方、MNUのマウス発達気暴露実験で得られた材料を用いて免疫組織化学的・分子生物学的解析を行ったが、エピジェネティックなメカニズムによる不可逆的な障害性は見出されなかった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2015 2014
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (4 results)
Journal of Applied Toxicology
Volume: In press Issue: 1 Pages: 24-34
10.1002/jat.3140
Toxicology Letters
Volume: 228(3) Issue: 3 Pages: 225-234
10.1016/j.toxlet.2014.04.018