Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本年度は, 空気中の音速と減衰係数を計測する信号処理手法, 計測された音速と減衰係数から気温と湿度を逆推定する手法の確立を目的に研究活動を遂行した. 具体的な研究結果は以下の通りである. 【インバースフィルタを用いる空気中の音速と減衰係数の同時計測法の提案】 従来, 音速計測には広帯域なチャープ信号, 減衰計測には狭帯域な正弦バースト信号が用いられていた. 本研究では, 音速と減衰の両方を計測する必要があるため, 有限な送信信号のエネルギを等分しチャープ信号と正弦バースト信号を送る必要があった. しかし, 音速に比べ減衰の計測精度の方が低いことが問題であった. そこで, インバースフィルタによって正弦バースト信号をパルス圧縮し, チャープ信号と同程度の音速精度を達成する手法を提案し, 恒温恒湿槽内での実験により検証した. その結果, 気温293-308K, 湿度50-90%RHの条件下において, 音速精度の達成を確認した. これにより, 送信信号のエネルギを全て正弦バースト信号へ集中できるようになり, 減衰計測における信号対雑音比を倍改善し, 計測された減衰係数の標準偏差を従来の2/3程度へ軽減できた. 【音速と減衰係数に基づく温湿度推定法の提案】 超音波の音速と減衰係数が気温と湿度に依存することを利用して, 実測された音速と減衰係数と理論式から導出される音遠と減衰係数が最も一致する気温と湿度の組み合わせを最適化処理により求める温湿度同時推定法を提案し, 恒温恒湿槽内での実験により検証した. その結果, 音速のみに基づく従来の超音波気温計測法が運用困難であった湿り空気中(気温293-308K, 湿度50-90%RH)においても, 0.5K以内の実用温度精度基準を達成することができた. また, 従来未確立であった超音波湿度計測も実現することができた. 【温湿度計測における気圧変動の影響の考察及び気圧補償システムの提案】 外乱としての気圧変動が計測へ与える影響について考察した. 各温湿度環境における気圧変動による推定結果への影響量を音速と減衰係数の理論式に基づき評価した結果, ±10hPa程度の大気圧の自然変動量を考慮するとき, 気圧変動による温度誤差は±0.5Kの許容範囲以内である一方で, 湿度誤差は±5Kの許容範囲外であり, 気圧補償が必要であることが明らかになった. そこで, 気圧センサを利用した気圧補償法を提案し, その有効性を恒温恒湿槽内での実験により検証した結果, 気圧変動が生じた場合でも有効に利用できることが示された.
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