Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
常温程度の反応場において、有機触媒-基質複合体の立体構造は、その柔軟性から分子間力の及ぶ範囲で動的に変化することが予想される。溶質分子と溶媒分子それぞれ一つからなる溶媒和クラスターは、複合体構造のモデル系であり、クラスター内の溶媒和構造ダイナミクスは、複合体内の分子間力の変化を反映した素過程の一つと考えられる。この素過程を分子レベルで研究することにより、複合体内ダイナミクスを理解するための基礎的情報が得られる。本研究では、分子内に2つの水素結合サイトをもつ5-ヒドロキシインドール(5HI)を対象に、その溶媒和クラスター内で生じる水素結合組み換え反応について注目した。昨年度は、光イオン化後の5HI水和クラスターカチオンで、それぞれの異性体間で溶媒和構造の組み換えを起こすことを明らかにした。しかし、異性化障壁など、組み換え反応を特徴づける重要なパラメータは、昨年度の実験からは得られていない。そこで、本年度は、5HI水和クラスターカチオンの異性化障壁を実験的に決定することを目的として実験を行った。異性化障壁の高さを実験的に決定するために、クラスターの内部エネルギーを変化させて、反応生成物が検出されるかどうかにについて調査した。今回、内部エネルギーを変化させる手法として、2波長2光子吸収イオン化法を適用した。その結果、5HI水和クラスターカチオンにおける組み換え反応の障壁がおよそ2127 cm-1と決定された。これは、水和クラスターカチオン中における組み換え反応の異性化障壁を実験的に決定した初めての例である。本研究成果をもとに、内部エネルギーと異性化障壁との相関をもとにした様々なパラメータについて実験的に求められれば、この水素結合組み換え反応がより詳細に理解されることが期待できる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Phys. Chem. A
Volume: 120 Issue: 11 Pages: 1825-1832
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Physical Chemistry Chemical Physics
Volume: 16 Issue: 8 Pages: 3798-3806
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http://www.scc.kyushu-u.ac.jp/Kouzou/str3j.html