ルカーチ「ハイデルベルク美学論稿」の社会思想史的研究-「現象学」の新展開に向けて
Project/Area Number |
13J03202
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Philosophy/Ethics
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
秋元 由裕 北海道大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2014)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2014: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | マルクス / 疎外論 / 類的存在 / 本質主義 / 身体論 / 主体性 / 批判理論 / ルカーチ / ハイデルベルク美学論稿 / 物象化 / 弁証法 / 美学の現象学 / 社会思想史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は、ルカーチの構想「美学の現象学」を脱美学化する可能性について研究を進めた。これをより広範な視座の下に再構成しようとするならば、美学に限定されたその主体概念を美学領域の外に転移する可能性について検討する必要がある。この点で、『歴史と階級意識』におけるルカーチの試行は不十分なものと言わざるを得ない。というのもそこでは、美的価値と緊密に結びついた規範的な主体概念が<上から>無媒介に社会的現実の中へと持ち込まれようとしたのだからである。むしろ、社会的現実の内に生きる経験的主体の実相を明らかにし、批判的主体を<下から>創造することが問われている。 そこで本研究としては、準拠点としてマルクス『経済学・哲学草稿』に立ち戻り、その主体概念を再論することによって、ルカーチを超え出る方向性を見出すべく努めた。とは言え、廣松渉やアルチュセールの批判に見られるように、これまでの諸研究はその「類的存在」概念を本質主義的な人間学に基づくものと把握してきた。これに対して本研究は、『草稿』の厳密な再読をつうじて先行研究とは異なった見解を提出する。その要点を記せば、(1)マルクスの「類」概念は「共同存在」を直ちに意味しておらず、むしろ「自由な意識的活動」をおこなう種属としての「対象性」を表現しようとする歴史貫通的な身体論である。(2)そしてこの身体は、身体的実践の産出物としての歴史によって媒介される。(3)それ故、人間は社会的諸関係のアンサンブルとして関係性によって媒介されるが、この媒介の舞台となるのは関係を創造する身体である。ーーこのことから、「類的存在」概念は身体性と媒介の緊張関係を内包した主体概念として、疎外批判ならびに史的唯物論の根幹に位置を占めるはずである。こうして得られた結論をさらに展開し、批判的社会理論にとって有用なものとして具体的に明らかにすることが今後の課題となる。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)