身体接触遊びにおける母子相互作用の解析:くすぐり遊びにおける原三項関係に着目して
Project/Area Number |
13J03494
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Educational psychology
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石島 このみ 早稲田大学, 人間科学研究科, 特別研究員DC2
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Project Period (FY) |
2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 母子相互作用 / 身体接触 / くすぐり遊び / モーションキャプチャ |
Research Abstract |
くすぐり遊びは, 発達初期の母子において文化を超えて自然になされるやりとりであり, 「自分でくすぐってもくすぐったくない」という独特な性質を持つ。従って, 身体を検知器とした乳児の自他分化や社会性の発達の指標となり得ると考えられる。これまでの母子のくすぐり遊びにおける相互作用の分析の結果, 生後半年前後の段階で乳児にくすぐったがり反応が生じるようになること, 生後半年過ぎの乳児でさえも, 母親の顔とくすぐる手を見る, くすぐる手が身体に触れる前に予期的にくすぐったがるなどして, くすぐりの文脈を共有し, 萌芽的に母親の意図を読み取りながら能動的に遊びに参与している可能性があることが指摘されてきた。乳児による他者の意図理解は三項関係が成立する生後9ヶ月頃になされはじめるとされてきたが, それに至る前の段階における, くすぐり遊びのような原初的な身体性を基盤としたやりとりが, 二項関係から三項関係への移行を支える役割を果たしている可能性がある(原三項関係)。こうした問題意識をふまえ, 本研究は, 母子のくすぐり遊び場面においていかなる相互作用がなされ, 発達的にいかに変化するのかを, 観察とモーションキャプチャ計測により定量的に明らかにすることを目的とした。今年度は, 生後6ヶ月の乳児とその母親をリクルートし, 生後6ヶ月・9ヶ月の2時点において, 15分程度の身体接触遊び場面(最低一回はくすぐり遊びを行う)のビデオ観察と, モーションキャプチャによる行動計測を縦断的に行った。観察・計測は早稲田大学所沢キャンパスの実験室において行われた。母子の姿勢関係や遊び方は一切指示せず, なるべく自然な身体接触遊びのデータを収集するよう留意した。現在, 予定通り11組の母子のデータが得られている。また英国Strathclyde大学のJonathan T. Delafield-Butt博士を訪問し, これらのデータのモーションキャプチャ解析及び行動分析を行うにあたっての分析の視点・方向性に関する議論も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに母子の身体接触遊びのビデオ観察・モーションキャプチャによるデータ収集が行われた。モーションキャプチャデータの解析はデータ整理が難航しているが, イギリス訪問時にはイギリスと日本の母子の身体接触遊びの共通性・文化差に関する議論が活発になされ, 身体接触遊びにおける母子相互作用の日英比較というテーマの発展が検討されるなどしているため, おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はモーションキャプチャによって得られたデータを, 母子の行動のマイクロ分析・音声ピッチの分析の結果に重ねていくことにより, より詳細かっ包括的に母子の身体接触を伴うやりとりを捉えることを目指す。母親のくすぐり行動のテンポや時間構造の分析においてキモグラフ分析やタウ解析を行う予定であったが, 自然な母子のやりとりを観察するために母子の姿勢やくすぐり方を特に指定しなかったことなどから, それらの分析手法を十分に適用できない可能性があることがわかってきた。しかしながら, 母親の身体の動きのモーションキャプチャデータは得られており, そこから母親の行動のテンポなどを特定できる可能性が高いため, 基本的な分析の方向性は堅持できると考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)